言葉の重み

言葉の重み

 新しい首相が誕生した。前首相の突然の退陣表明から、ほぼ1カ月。幸いに新型コロナウイルスの感染者数が減少をたどり、国民のコロナへの関心が薄れたことも後押ししたのか、自民党は権力闘争に明け暮れ、したたかに政権基盤を固めた。

 野党が強く求めていた国会がようやく召集され、岸田文雄新政権に対する論戦が始まる。十分に説明しない、質問に正面から答えないリーダーの姿にはうんざりしていただけに、新宰相には真正面から国民の問いに答えてもらいたい。岸田新首相も総裁就任後の会見で丁寧と寛容を強調しており、その実践を注目したい。

 やはりリーダーの言葉は重要だ。引退を表明しているドイツのメルケル首相がコロナに関して国民に訴えた演説は、胸を打つものがあると国際社会からも称賛された。死者が最多になった日には「私たちが支払う代償が一日590人もの命だとしたら、それは到底容認できない」。クリスマスを前に「祖父母と過ごす最後のクリスマスになってはならない」。感情をあらわにして、自らの言葉で国民に語り掛けたという。

 時代の変化とともにインターネットを駆使して情報を集めるのが当たり前になった。そこにも多くの言葉はあふれているが、間違いや誹謗(ひぼう)中傷も多く共感にはほど遠い。コロナと向き合う新たな時代をどう歩むのか。共感できる言葉をリーダーから聞きたい。(昭)

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