アイヌ文化振興を担当 札幌出身の乾さん「国内外へ発信したい」 地域おこし協力隊員誕生  白老

アイヌ文化振興を担当 札幌出身の乾さん「国内外へ発信したい」 地域おこし協力隊員誕生  白老
アイヌ文化担当の地域おこし協力隊員に任命された乾さん

 白老町にアイヌ文化振興担当の地域おこし協力隊員が誕生した。任命されたのは、札幌市出身の乾藍那さん(34)。「アイヌ文化の魅力を白老から国内外へ発信したい」と張り切っている。

 乾さんは京都市立芸術大学を卒業後、イタリアの芸術系大学院で6年間、絵画を学んだ。帰国後、語学力を生かし、北海道日伊協会(札幌市)のイタリア語講師を務めた。両親は共に文化人類学の研究者。父は学習院女子大、母は東海大で教壇に立ち、自宅の本棚にアイヌ民族関連の書物が並ぶなど、民族学が常に身近にある家庭環境の中で育ったという。

 乾さん自身もアイヌ文化に興味を抱くようになり、白老町で国が開業した民族共生象徴空間(ウポポイ)を見学した際、「白老町に移り住んでアイヌ文化に関わる仕事ができれば」と考えるようになった。そうした中、町がアイヌ文化振興担当の地域おこし協力隊員を募集していることを知り、応募した。熱い志と意欲が町に評価され、採用が決まった。

 1日に町役場で古俣博之副町長から委嘱状を受け取った乾さんは「インターネット交流サイト(SNS)や得意のイラスト制作を生かし、白老のアイヌ文化の魅力や自然の美しさを世界にアピールしたい」と意気込んだ。地元関係団体との関係を築きながら、今月からアイヌ文化の振興を図る活動に乗り出す。任期は最長で2024年3月までの3年間。古俣副町長は「アイヌ民族の歴史や文化への理解促進に向けた活動に励んでもらい、町が掲げる多文化共生のまちづくりに貢献してほしい。白老の伝統文化の活性化やPRに尽力してもらえれば」と激励した。

 町は16年度から観光振興や文化芸術分野などの地域おこし協力隊員を受け入れているが、アイヌ文化振興担当の採用は初めて。町は伝統文化の振興と伝承、発信を推進するため、アイヌ施策基本方針の改定を進めており、地域おこし協力隊員の活躍にも大きな期待を寄せている。

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