初冬

初冬

 山歩きの楽しみの一つは、冬に向かう次の季節を人里よりも早く体験できること。道内では紅葉に続き、今週は初冠雪が話題になった。

 「4日は夏日だったのに」とぐちを言っても、もう季節は戻ってこない。6日は道内最高峰の大雪山系旭岳(2291メートル)や黒岳、7日は利尻島の利尻山や十勝連峰も、白い雪をまとって気象台の職員に目撃された。旭岳の初冠雪は、平年(9月25日)より11日も遅いそうだ。

 きのうの北海道新聞1面には純白の十勝岳(2077メートル)の写真が掲げられた。駐車場のある望岳台から避難小屋を経て登って行く急斜面、ぽっかりと口を開けた摺鉢(すりばち)火口や、その先の巨大なグランド火口の脇に延びる登山道付近も写っている。62―2火口からもくもくと噴煙が上がる。夏山の経験しかないが、火口の連なる植物の少ない山を思い出した。

 十年ほど前に樽前山(1041メートル)で、冬の始まりを目撃したことがある。7合目から上は雲中の山行。高度が増すにつれて雨に変わり、やがて雨がみぞれになって、横殴りの雪が降り始めた。靴も服も冬仕様だったから、東ピーク付近にゆっくりと座り、山肌が白い雪景色に変わっていく様子を観察した。

 人里にも冬が近付いている。散歩道を飛ぶユキムシの数が一気に増えた。きのうは岸田首相の所信表明演説。週が明ければ各党の代表質問。そして解散。初冬にどんな風が吹くのか。どんな風を吹かせるのか。(水)

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