苫小牧沿岸のスケトウダラ刺し網漁の初水揚げを取材し、苫小牧港・西港漁港区に広がる光景に思わず戸惑った。前年この時期にほぼ姿のなかったイカ漁の外来船が大挙して入港。その数50隻ほど。船だまりをびっしりと埋め、まばゆい光を放つ船も多かった。おかげで帰港する漁船をつい見落とし、真夜中の岸壁沿いを全力で走った。
お目当てのスケトウダラは漁獲がまだ少量。漁船が帰港するまでの間に、魚を網から外す作業を船の上で終え、岸壁の荷揚げ作業はほぼ一瞬。12月ごろの漁の最盛期であれば、漁業者が凍えるような岸壁で暖を取り、座り込んで作業しているのが風物詩。漁業者に話を聞くと、魚の体は大きいが、魚群の岸寄りはこれからという。
苫小牧はここ数年、秋サケ、スケトウダラの不漁が続いている。水揚げ日本一のホッキ貝と並び漁獲高の3本柱を形成する魚種だけに、漁業者にとっては死活問題。今年は代わりと言わんばかりにニシンやホッケ、カレイが好調だが、やはり旬の主役が振るわないと、浜も元気がないように映る。サケの定置網に立派なブリが入っていても、聞こえてくるのは嘆き声だ。
海の異変が指摘されるようになって久しい。地球温暖化の影響で海域の魚種が変化しているのかもしれない。太平洋沿岸は道東を中心に赤潮被害も深刻だ。漁業者の努力だけでは、いかんともし難い緊急事態。地域の魚を守るため、考えたい。(金)









