「植物が先か、種(タネ)が先か」。植物の世界にそんな疑問があるそうだ。田中修著「植物のいのち」(中公新書)に書かれていた。
卵が先かニワトリが先か―。古くからある科学的なぞなぞ。理屈をこねまわして主張し合える、ある意味では楽しい疑問。植物は、種が芽を出し、芽が育って草や木になり、やがて花を咲かせて、次の種を作るのだから種が先―と思っていたが、誤りだそうだ。「植物の―」によると答えは明確。植物の世界では「種を作らないコケ植物やシダ植物が、種を作る植物より先に生まれています。つまり『植物が種より先』なのです。これらの植物は種を作らず胞子というものを作って増えます」。
身の回りには、同じような疑問がある。例えばJRの地方路線の維持か廃止かをめぐるやりとり。ダイヤが不便だから乗客が減るのか、乗客が減るからダイヤが不便になっていくのか。他に移動手段の少ない高齢者や高校生を人質にしながら、もやもやと論争が続き、鉄路が切られる。メールの普及で郵便離れが進み、土曜日の配達が廃止された。人手不足もあって次は翌日配達廃止の準備も進んでいるという。配達の遅さと利用減少の関係を改めて考える。誤字だらけの汚い文字の手紙を配達さんに託した世代。気になる。
第49回衆院選が、きのう公示された。新型コロナ対策など争点は山盛り。「分配が先か成長が先か」もその一つだ。しっかりと考えて投票をしたい。(水)









