緊張感

緊張感

 4年ぶりの衆院選挙が始まった。参院選と違って政権選択が大きな焦点になるが、有権者は何を基準に候補者を選ぶのか。小選挙区なら候補者の訴える政策か。それとも人柄なのか。有権者が候補者の声を直接聞く機会は決して多くはない。かといって、各政党の公約を隅から隅まで読むのもなかなか難しい。選択する判断材料の提供へ、報道機関が大きな役割を担うことを改めて強く思う。

 ポストコロナの新たな時代をどう築いていくのか。これまで顕在化していた格差などの問題は、コロナ禍でより拡大した。これをどう縮小させていくのか、細くて狭い道になるが、各党はその指標を明確に示しているのだろうか。判断基準の一つに挙げたい。

 通信社が今月実施した世論調査が興味深い。与党と野党が伯仲することを望んでいるのが45・2%。自民党1強時代が長く続き、国民に十分な説明をしない姿勢や憲法解釈までも簡単に変更してしまう「数の論理」に危機感を持つ有権者が多いことの表れなのだろう。それでも、先の調査では与党と野党が逆転することを望むのは13・9%だけ。超短期決戦の中で、この数字の変化はまさに各党の戦いに懸かっている。

 健全な野党と与党が緊張感を保って政策提案し、議論することへの国民の期待感は強いはず。風はまだ吹いていない。追い風も向かい風も、吹かすのは有権者だ。(昭)

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