10月31日に投開票が行われた衆院選。道9区(胆振・日高管内)は選挙戦直前に共産党が松橋千春氏(39)の出馬を取り下げ、初の与野党一騎打ちとなった。投票率が過去3番目に低い58・92%と低迷する中、立憲民主党の山岡達丸氏(42)が勝利し、自民党の堀井学氏(49)は比例代表道ブロックで復活当選した。それぞれの取材を担当した記者3人が選挙戦を振り返った。
A 山岡氏は、この4年間の議員活動に対する評価の高さを感じた。コロナ禍で事業者の相談窓口を開設し、約1年8カ月で延べ2500件の相談、要望を受け、相談者には山岡氏本人が改めて電話を入れていたと聞く。山岡氏が苫小牧市内の繁華街で遊説した際、営業中の店舗関係者が感謝の言葉を伝えるため、わざわざ外に出てきた姿も見た。これまで堀井氏を推薦してきた苫小牧市医師会の政治団体が、山岡氏の推薦に回ったのが象徴的。衝撃も大きかった。
B 堀井氏に対して「地元で姿を見ない」「4年間、会っていない」など厳しい声が聞かれ、山岡氏と比べる人も多かった。堀井氏はこれまでの選挙戦から、戦略も大きく変えなかった。支持する企業や団体の引き締めを図る「地上戦」、大物応援弁士を投入して無党派層に訴えを浸透させる「空中戦」。前回は野党票を下回っていたため、陣営は「追い掛ける戦い」と危機意識を高めたが、及ばなかった。
A 野党候補の一本化、一騎打ちの構図は、山岡氏に利が大きかったが、山岡陣営は「野党共闘」にかなり神経を使っていた。支持母体の連合には主張が相いれない企業系労組もある。共産党の候補取り下げに対し、陣営幹部からは「(共産党の)自主判断」と突き放した表現も聞かれた。ただ、共産党の決起集会に山岡氏がメッセージを送るなど、微妙な距離の取り方が奏功した。
C 松橋氏は公示前、事務所開きをした直後に出馬を取り下げる流れになり、取材をしていても、いたたまれなかった。野党と市民団体の調印式のライブ中継を松橋氏と一緒に見ていたが、唇をぐっとかみしめて何か押し殺すような表情だったのが印象的だった。支持者には「山岡氏には投票したくない」という声もあったようだが、関係者は「政権交代のため」と理解を求めていた。
B 堀井陣営は企業系労組の「反共産」を見越し、岸田首相が来苫した際にトヨタ自動車北海道社長と引き合わせるなど、企業や労組に接触する動きを強めた。原子力発電所の再稼働をはじめ、経済界の期待を意識した政策を訴えたが、旧態依然の戦い方は限界との指摘もある。
A 山岡氏と堀井氏の得票差が6600票余りにとどまったが、投票率が上がっていれば山岡氏は差を広げていたかもしれない。企業系労組の「反共産」の動きも目立たず、コロナ対策に不満な無党派層の有権者からの山岡氏支持も多かったように思う。堀井氏も小選挙区の落選が決まった際、「私の力不足」と敗戦の弁を述べた。復活当選は正直、予想外だったのではないか。
B 特に苫小牧で投票率が低かったのは残念で、気になる。これまでも若い人の棄権が多かった。両陣営はインターネット交流サイト(SNS)を活用し、選挙期間中に記事や動画を流していたが、関心を持たれないと投票行動につながらない。両陣営の大物応援弁士も苫小牧入りしたが、大きなうねりにならなかったと思う。当選した山岡、堀井両氏は有権者の信任に応え、政治に期待が持てるよう取り組んでもらいたい。
















