居間の柱の西向きの面が、細かい文字や線で汚れている。子どもや孫が思いつくたびに残していった、解読不能の、いわゆる柱の傷だ。
首都圏に住む孫たちから、久しぶりに、おばあちゃんへの電話。11歳の孫が身長149センチ、体重40キロになったという。背丈が母親に迫り、体重は祖母を抜いた。昨年の1月、日本国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された頃、しばらく帰省は無理と考えて、孫たちの変声期について書いた記憶がある。冗談ではなくなってしまった。会えない時間が、間もなく2年になる。柱のたくさんの傷を見ながら孫の現在の大きさを想像するが、像が結ばない。
コロナ禍は、日本では原因不詳の小康状態が続き、飲食や移動の自粛緩和が進む。朝刊を見ると、きのうの日本の新規感染者は全国で225人。47都道府県のうち20ほどが新規感染ゼロだ。しかし世界の数字を見るときのうの新規感染は約52万人。ワクチン接種でも外食や観光の緩和でも、日本に先んじていたはずのドイツやフランスの感染拡大が特に目立つという。欧州は「あすの日本」。朝のテレビニュースでの、おなじみの医師の言葉だ。油断はできない。
知人の所に、首都圏に住む孫の、幼稚園の運動会の動画が届いたそうだ。再生ボタンを繰り返し押していると、画面がにじんできたという。帰省が話題になる季節。「行くからねェ」と言う、孫の明るい声のつらい季節が、またやってきた。(水)









