苫小牧市拓勇西町の市街地に残る自然環境保全地区の沼ノ端拓勇樹林(3・2ヘクタール)の在り方をめぐり、市は11日の自然環境保全審議会で、「拓勇樹林の保全と適切な利用」を基本方針とする事務局の原案を示した。散策路やベンチなどの整備は見送り、地域とのごみ拾いや観察会開催などを通じて市民の関心を高める取り組みを重視する内容。市は同審議会の意見を参考にしながら、年度内に最終的な方針を決めたい考えだ。
具体的には、現在2カ所設置している説明看板を最新の調査データを反映した内容に改め、設置場所を増やす。植生を紹介するため樹名板も取り付ける他、樹林外周部の草刈り回数を現在の年1回より拡大し、管理を強化する。
さらに、地域と共に草刈り前のごみ拾いをしたり、市民向けの観察会を開催したりし、「地域にも関わりを持ってもらうことで、拓勇樹林への理解向上や不法投棄の防止効果を高めたい」と説明する。
今回の検討に当たって、市は2020年度に1年かけ環境調査を実施。1995年から自然環境保全地区に指定しているが、現在も「かつての勇払原野の要素が数多く残されており、市街地化が進む中で保全すべき価値の高い貴重な樹林」と結論付けた。
また、市民2000人対象のアンケートでは、「自然に手を加えず、なるべくそのままにする方がよい」が44・1%、「自然を残すことを優先しつつ、ある程度人も利用できるようにした方がよい」が45・6%と拮抗。回答者を拓勇西町に限定した場合、「なるべくそのまま」が50%を超える結果だった。
こうした点も踏まえ、当初の検討案にあった散策路整備、ベンチや外周柵の設置について、「施工後は元の自然に戻すことは困難」として見送ることを選んだ。
委員からは「関心を持ってもらう仕掛けが大事」と認知度の低さを指摘する声も出たが、おおむね事務局案に沿った意見が目立った。年明け以降に開く次回審議会で、市の最終案を示すことを確認した。
拓勇樹林はこれまでほぼ手を加えず、豊かな樹林地を保ってきた一方、ごみの不法投棄や治安への懸念、秋に大量に出る落葉の対処問題などが発生し、地域住民から市に対策を求める声が出ていた。



















