東京五輪・男子やり投げ日本代表 小南拓人さんが道栄高訪問-亡き友へ感謝胸に

道栄高に東京五輪の記念品を手渡した小南さん(中央)

 東京五輪男子やり投げ日本代表で、札幌市出身の小南拓人さん(26)=染めQ=が11月30日、北海道栄高校を訪問した。高校時代に共に世界の舞台で戦い、志半ばで逝去した道栄陸上部OBの高橋優さん(享年19歳)との縁をたどって来校、「優の代わりだと思って受け取ってほしい」と五輪出場記念の皿を現役陸上部生徒に手渡し、亡き友人に支えられた感謝の気持ちを伝えた。

 小南さんは札幌第一高在学時に野球部から陸上部へ転向した異色のトップアスリート。目に難病を抱えながら2013年の全国高校総体(大分県)男子やり投げで優勝。国士館大を経て今年6月の日本選手権で優勝し、悲願の五輪出場を果たした。

 五輪では、13年の日・韓・中ジュニア交流競技会(中国)で同じ日本代表に選出されたことがきっかけで仲良くなった高橋さんの生前の写真をバッグにしのばせていたという。「少しでもパワーをもらいたかった。きっと優も五輪を目指していたはず」

 高橋さんは釧路青陵中から道栄高へ進学。一躍全国に名をとどろかせたのは13年の高校総体男子100メートル、200メートル。同学年の桐生祥秀(当時京都・洛南高)=日本生命=、小池祐貴(同立命館慶祥高)=住友電工=と好レースを繰り広げ、両種目で3位入賞を果たした。

 しかし、同年12月に白血病で入院。進学が決まっていた中央大を休学して闘病生活を送っていたが、14年9月に亡くなった。「すごく気さくで面白いやつだった。進学したら東京で一緒にご飯を食べようと約束していた」と小南さん。今できることを一生懸命に取り組む大切さを教えてくれた友人に「バッグの中からでも五輪の景色を見せてあげたかった」と話した。

 高橋さんの恩師で道栄高陸上部の堀下航監督は「優のことを思って投げてくれていたと聞いて、本当にうれしかった」と目を細める。同部きっての「負けず嫌いで強い心の持ち主」だったという高橋さんがつないだ縁に感謝し、「小南さんのような世界で戦う選手になっても、気配りができる人間性豊かな選手になってほしい」と部員たちに期待を寄せる。

 小南さんから記念品を受け取った男子の清水徹主将(2年)は「すごく刺激をもらった。きょうのことを他の部員とも共有して、チーム力を高めていきたい」と意気込む。女子の納村琉愛主将(同)は「高橋さんへの思いを聞いて心が揺さぶられた。自分がもし強い選手になったとき、誰かの分も―と言えるようになりたい」と語った。

 小南さんは「将来どこかの大会で道栄さんの選手と再会する日が来たらうれしい」と部員たちに熱い視線を送った。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る