北海道の空の玄関口、新千歳空港で取材するたび、新型コロナウイルス感染症による影響や、その移り変わりを、いや応なしに実感する。緊急事態宣言の発令下、旅客需要は著しく減り、人の往来もまばらだった。感染拡大が沈静化している現在、ビジネス客や旅行客の往来は活発で、空港グルメや娯楽施設を目当てに観光客も訪れる。
国内線ターミナルビル2階のセンタープラザにはイルミネーションツリーが登場し、休日は家族連れやカップルでにぎわう。足を運ぶ人は当然マスク姿だが、人と人との距離が近い「密」も散見される。コロナ対策の徹底と、かつての日常を取り戻す動きが、せめぎ合っている。
一方、国際線ターミナルビルに目を転じると、気の毒なほど閑散としている。比較的真新しい施設内で、たまにすれ違うのはほぼ関係者。立ち入りは自由にできるが、人けがないとやはり居心地は悪い。観光案内所もあるが、外国人はもちろん皆無。新千歳は昨春以降、国際線の旅客定期便は、全便が運休したまま。打撃は深刻だ。
新たな変異株オミクロン株が国内でも確認された。感染力や重症化リスクなど不明な点は多い。政府は外国人の入国を原則禁止するなど水際対策に力を入れるが、一部で朝令暮改のような方針転換で混乱もある。感染予防の徹底と、社会経済活動の継続と、どんなバランスがベストマッチか。なかなか見通せない日が続く。(金)









