来年2月4日の冬の北京オリンピック開幕まで2カ月。中国の大会組織委員会は新型コロナウイルス対策で海外からの観客は受け入れず、国内在住者に限ってチケットを販売する方針とされるが、新たな変異株「オミクロン株」の出現で、さらに注意深く影響を見極める必要に迫られている。
開催の可否で揺れ続けた東京五輪も、つい4カ月前に終わったばかりなのに、遠い昔の出来事に感じるのはなぜだろう。酷暑対策でマラソン・競歩の会場が突然札幌市に変更されたこと、大会組織委員会のトップが女性差別発言で辞任したこと、緊急事態宣言のさなかに無観客で開催されたこと―。何から何まで政治的な五輪だった。
北京五輪もまた、チベットや新疆ウイグル自治区での人権問題に加え、女子テニス選手が共産党最高指導部の元メンバーに不倫を強要されたことを告発後に消息不明となった問題で、政府高官を派遣しない「外交ボイコット」を検討する国が出ている。五輪はいかなる差別も認めず、平和な社会を推進することが目的のはずなのに、常に政治と無関係ではいられない。
そして札幌市は、2030年の冬季五輪・パラリンピックの招致を目指している。来年、賛否を問う意向調査を、市民だけでなく道民も対象に行うという。半世紀前の夢をもう一度―だけでは済まないと、多くの人は分かっている。原点に立ち返って、五輪を見詰め直す機会にしなければならない。(吉)









