若者の郷土愛

若者の郷土愛

 白老町虎杖浜の住民有志が保存に動きだした。地域で8~10月に開催された屋外写真展の作品を残し、観光振興に生かしたいという。漁師まちとして活気に満ちた昭和中期の虎杖浜の風景を捉えた展示作品は、観光客がその土地の芸術文化を楽しむアートツーリズムの資源になる。イベントを主催したウイマム文化芸術プロジェクト実行委員会メンバーの一人として、筆者も有志らの動きを応援したい。

 写真展は、巨大サイズに引き伸ばした作品を海岸通りの建物の壁に貼り付けて催した。大漁でにぎわう浜など往時の懐かしい景色を出現させ、各地から多くの人が鑑賞に訪れた。虎杖浜という小さな集落が急に注目を集め、誇らしげに思う住民も少なくなかった。だからイベント終了後、剝がされてしまうのはもったいない。保存し活用したいと、30代の若手を中心とした有志はそう考えた。展示場所を提供した建物所有者の賛同を得て11月末、高所作業車を用意し、作品の表面に保護材の特殊塗料を塗った。決して安くない費用は取りあえず自費で賄った。作品を長く維持するために寄付金も呼び掛けている。今後、写真をさらに増やし、水産物店や温泉施設が売り物の虎杖浜へ人を呼び込みたいと意気込む。

 郷土愛に突き動かされた若者らの活動。それは一地域に限らず、白老全体の振興につながるはずだ。町役場は見て見ぬふりをしてはいけない。どう支援できるか考えるべきである。(下)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る