記者コラム 風 覚悟

記者コラム 風 覚悟

 「行くかい」「行こうかな」。人生最後の旅のきっかけは、意外にもあっさりと決まった。

 11月、小生ら一族恒例の青森県墓参ツアーが開かれた。「この調子なら行ける」。むくんで震えた手を動かしながら、覚悟を示したのは91歳の叔父。突如として腎臓が言うことを聞かなくなり、余命いくばくかの日々を過ごしていた。

 参加が決まれば、どんな手を使ってでも連れて行くのが添乗員の使命。車椅子を確保し、万が一のための医療手配も済ませた。毎日雨模様だったが、墓参時だけは晴れ間がのぞいた。「よく来た」と先祖たちがねぎらってくれたのか。

 健脚の持ち主だった叔父は、車内で待機することがほとんど。それでも毎日昼食にラーメンを食べ、土産店に寄っては塩分豊富な漬物やお菓子を買いあさった。

 「楽しく行けて良かった」。苫小牧に戻って1週間後、眠るように息を引き取った。こちらこそ、ありがとう。

(北)

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