エゾシカ

エゾシカ

 苫小牧市緑ケ丘公園展望台周辺に行くとかなりの確率でエゾシカの群れに遭遇する。いつも同じ場所で見掛けるので、安平町の鹿公園を訪れたような気分になる。近隣の高校生には見慣れた光景らしく、現れても気にするそぶりも見せない。以前はこんなにはいなかった。何が起きているのか。

 道によると、エゾシカは明治初期に乱獲や大雪などで絶滅の危機を迎えたが保護政策で生き延びた。替わりに天敵エゾオオカミが絶滅し、原生林が農地化して餌場になったこともあり急増。道内の推定生息数は直近の統計で67万頭に上る。猟銃誤射事件を受けた狩猟規制も影響して増加傾向にある。これほど増えると市民生活にもさまざまな影響が出てくる。本紙の読者投稿欄にも「畑が荒らされる」「ふん害がひどい」といった悩み、苦情がたびたび寄せられる。

 交通事故も頻発。市内ではシカ飛び出しへの注意を促す看板が増えた気がする。実際、身の回りでも数人が車を運転中に衝突されている。列車との接触事故もよく耳にする。自身も先月下旬、市立病院のすぐ前の道路を横断しようとする2頭に危うく突っ込まれそうになった。

 エゾシカとの遭遇はもはや、日常的な光景になりつつある。野生のエゾシカと出合える街。環境を逆手に取り、観光や教育に生かす手はないものかと考えてしまう。自然環境と産業が共生する持続可能な都市の実現を目指す苫小牧市は、この状況とどう向き合うか。(輝)

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