秋ごろ、社内にある清涼飲料水の自動販売機に「ボトルは、リサイクルペット素材100%」と表示された商品が加わった。使用済みペットボトルを回収して全く同じ形に容器を再生し、飲料水を入れて売り始めたのだ。
使用済みの製品を回収し、一度資源に戻した後、再び同じ製品に生まれ変わらせる「水平リサイクル」という仕組みがある。瓶から瓶に、段ボールから段ボールに、何度も同じ物に作り替え、資源を長期間循環させるという一歩進んだリサイクル。先述のボトルはその一例で、最近は多様なメーカーがこの仕組みの実現に取り組んでいる。例えば、ある企業は近年、使用済み紙おむつを破砕してパルプを取り出し、減菌後に再び紙おむつにする技術を開発した。また、複数の企業が共同で、洗剤などの詰め替え容器を回収し、同じ容器に再生する技術の開発を進めている。
企業がリサイクルに取り組むことは、国連のSDGs(持続可能な開発目標)などを背景に、もはや当たり前になった。開発に費用を要するためか、新品と同等とPRするためか、企業が設定する再生品の売り値は新品と変わらない傾向にある。
再生品は、新品より見た目や品質が劣るという印象があるが、今や新品と同等の扱いで世に出回りつつある。これが普通になれば、リサイクルという言葉や概念が薄れ、物の価値への意識改革が私たちに求められてくるのかもしれない。(林)









