ケーキショップヨコヤマ 30日閉店で48年の歴史に幕、二人三脚で歩んだ妻、認知症を周囲の支えで危機乗り越えた

ケーキショップヨコヤマ 30日閉店で48年の歴史に幕、二人三脚で歩んだ妻、認知症を周囲の支えで危機乗り越えた
年内での閉店を決めた店主の横山さん

 苫小牧市双葉町の洋菓子店ケーキショップヨコヤマが、30日で閉店する。48年間、店を切り盛りしてきた店主の横山重雄さん(74)にとって、店は職場であり、たくさんの人との出会いの場であり、若年性認知症となった妻の介護の場だった。「店を閉めるのは寂しいけど、これからは自分の介護経験を生かした地域活動をしたい」とほほ笑む。

 同店は1973年12月、出身地の洞爺村(現・洞爺湖町)の菓子店で菓子職人として修業を積んだ横山さんが、妻の洋子さん(故人)と一緒に始めた。地域の発展に合わせ、店も順調に成長。「まちのケーキ屋さん」として誕生日や記念日、クリスマスなど、市民の特別な日を自慢のケーキで彩ってきた。

 クリスマスなど繁忙期には、洋子さんと2人で徹夜してケーキを作り続けた。洋子さんの明るい人柄で常連客も増えた。横山さんは「自分は菓子を作ることしかできない。店は妻でもっていた」と振り返る。

 夫婦二人三脚、地道に歩んできたが、2009年、店に危機が訪れる。洋子さんが若年性認知症を発症した。病気の進行を少しでも遅らせたいと洋子さんは店に立ち続けたが、徐々に従来のような仕事をすることが難しくなり客とのトラブルが増加。売り上げにも影響し、経営難に陥った。

 窮地を救ったのは、近隣で店を営む仲間の勧めで行ったショーケースへの張り紙だった。紙には「家内が認知症を患っており、お客様に大変ご迷惑をお掛けしております」との一文。客は驚きながらも、温かい反応を示してくれた。計算が難しくなった洋子さんを気遣い、釣り銭が出ないように支払ってくれる人も。店に活気が戻った。

 13年7月、苫小牧民報の紙面にこの様子を伝える記事が掲載されると、さらに大きな反響を呼んだ。「介護の悩みを聞いてほしい」と店を訪れる人、夫婦で道路を歩いていると通り過ぎる車内から「頑張れ!」と声援を送ってくれる人…。仕事と介護の両立で疲弊する横山さん自身の心が、さまざまな人との出会いで癒やされていくのを感じたという。

 その後、洋子さんは市内のグループホームで5年間暮らし、20年1月に71歳で亡くなった。同年の11月、今度は横山さんが心筋梗塞を発症。2週間の入院後、仕事に復帰したが「もう無理はできないのかもしれない」と考え、今年に入って店を畳むことを決意した。

 菓子店にとって12月は最盛期だが、自身の体調も考えてできる範囲内で営業。来年からは市内で開かれている認知症カフェ(ほっとカフェ)などに参加し、介護で悩んでいる人たちの話に耳を傾けたり、自身の経験を語ったりする活動に意欲を燃やす。

 横山さんは「いろんな困難があったけど、ここまで店を続けられたのはたくさんの人たちが支えてくれたおかげで心から感謝している。微力だけど、今後も何か地域の役に立てるような活動ができれば」と話している。

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