エゾサンショウウオ「幼形成熟」、北大の研究グループが東胆振で89年ぶり発見「進化の理解につながる」

エゾサンショウウオ「幼形成熟」、北大の研究グループが東胆振で89年ぶり発見「進化の理解につながる」
エゾサンショウウオの幼形成熟個体(上)と通常の成熟個体(岡宮研究員提供)

 北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの岡宮久規研究員(30)と岸田治准教授(45)らの研究グループは、2020年冬から21年春にかけての研究調査で、東胆振地方の池から道内固有種のエゾサンショウウオのうち「幼形成熟」と呼ばれる個体を1932(昭和7)年以来、89年ぶりに発見した。えらなど水生に適した幼生の特徴を持ったまま生殖能力を備えた個体で、岡宮研究員は「サンショウウオ類の生活史の多様性や進化の理解につながる重要な発見」と話す。

 北大によると、2020年12月に雄1匹、今年4月に同2匹を発見。体長が成体のサイズと同じ12~14センチである一方、幼生の特徴であるえらや大きな尾びれを残しており、今年見つかった2匹からは生殖能力も確認された。

 両生類の種の多くは幼生期を水中で過ごし、変態を経て陸上生活に移行してから成熟するが、一部の種では、えらや発達した尾びれなど幼生の形態を保持したまま変態せずに成熟する現象(幼形成熟)が知られている。

 有名な例としてはメキシコサンショウウオの幼形成熟があり、ウーパールーパーの名で知られている。

 国内では1924(大正13)年、北大の佐々木望(まどか)博士が白老町の倶多楽湖に生息するエゾサンショウウオの幼形成熟について報告したのが最初の記録。同湖の幼形成熟個体は、32年に同大名誉教授牧野佐二郎博士によって採集された2個体を最後に見つかっておらず、その後は他の地域でも発見例はなかった。

 岸田准教授は「両生類を愛してやまない研究員と大学院生たちが日々あちこちの池に足を運び、採集、観察を続けた成果」と強調。「純粋な好奇心と地道な観察が野生生物の自然史解明の礎となることを改めて学ばせてもらった」と話す。

 論文は今月8日付の日本動物学会の国際誌「ズーロジカル・レターズ」に掲載された。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る