「よそ者、若者、ばか者」。地域の振興や変革に必要な人材を表現するのによく使われるフレーズだ。外からの視点でまちの魅力を発掘し、柔軟な発想と企画力で活性化に挑む人ということか。ばか者とは言葉が過ぎるけれど、世間の目を気にせず、常識に縛られない行動力で疲弊した地域の活路を切り開く人と捉えれば、言い得て妙である。
振り返れば幕末の若い志士もそうだった。世の中を変えたいと古い慣習をはねのけ、藩をまたいで大胆に行動し時代を動かした。旧来に固執すれば、未来を創造できない―。よそ者、若者の強みを持つ地域おこし協力隊員にまちの再生を託す市町村が増えているのも、そうした考え方が広がっているからだろう。
都市から過疎地へ移り住み、地場産品の開発などに奮闘する隊員は全国に5000人以上いる。地方創生策で協力隊制度を推進する国は、2024年度に8000人へ増やす目標を立てた。自治体も奪い合うように誘致に力を入れている。先日、白老町に住む隊員6人の活動報告を聞く機会があった。アイヌ文化を漫画で発信したり、森の植物で入浴剤の商品化に取り組んだりと、20代や30代の若者の頑張る姿が頼もしく見えた。
だが、協力隊をめぐっては課題もある。任期を終えた後、定住を諦めて離れる人が多いのも一つだ。縁あってやって来た若者が安心して住み続けられるための支援策。その整備は受け入れ側の当然の責任だ。(下)









