2年で変わった”大会の形” ―感染対策と向き合う日々〔2021スポーツ回顧〕

2年で変わった”大会の形” ―感染対策と向き合う日々〔2021スポーツ回顧〕
今年7~8月に福井市で無観客開催された全国高校総体陸上。スタンドには選手や指導者のみが座る

 2年ぶり―。大会優勝や全国舞台挑戦など、本来はポジティブな場面で使うことが多い。今年記者が書いた記事には40回以上使われたが、そのほとんどが新型コロナウイルスの影響で2年ぶりに大会が開催されたことを知らせるものだった。

 夏の全国高校総体、全国高校野球選手権、全国中学校大会など枚挙にいとまがないが、多くのビッグイベントが全国各地で開催された。伴って北海道、室蘭支部、苫小牧地区でも全国につながる各種大会が軒並み実施された。選手はもちろん、本紙記者も久々の忙しい日々に心地よい汗をかいた。

 ただ、新型コロナとは無縁だった2年前とは大会の装いは大きく違う。最たるものは観客。選手たちの一挙手一投足に声援を送る保護者や競技ファンの一般観戦者が、どこを見渡してもいない。特に全国級の大会になれば、多くの歓声が選手のパフォーマンス、好記録を後押しすることも多いだけに寂しさを覚えた。

 桐生祥秀(26)=日本生命=が大学時代に日本人初の100メートル9秒台を樹立した9・98スタジアム(福井運動公園陸上競技場)=福井市=で行われた全国高校総体陸上。選手ら関係者全員が競技中以外は炎天下でもマスクを着用し、会場内には声を出す応援を禁止するアナウンスが定期的に流れた。代わりに優勝や好記録を出した選手、チームには惜しみない拍手が送られた。

 取材で会場入場を許可された報道陣は、毎日の検温や健康チェックシート提出、時には新型コロナ罹患(りかん)の有無を調べる検査もした。選手たちが待ちに待った舞台を台無しにするまいと、日々の行動には気を使った。観戦に来られない保護者や読者の分まで、写真や文字で大会の様子を伝えようといつも以上に力が入ったのも事実だ。

 アクシデントにも見舞われた。8月に苫小牧市で開催された高校アイスホッケーの全国大会。計150人が新型コロナ陽性者となったクラスター(感染者集団)に巻き込まれ、1週間以上の自宅隔離生活を送った。幸い本紙記者に陽性者は出なかったが、コロナ禍のスポーツ取材におけるリスクの大きさを実感させられた。

 新型コロナと向き合う日々は2022年も続きそうだ。1月には冬競技の全国高校総体、全国中学校大会など東胆振勢の上位進出が期待される一戦が目白押し。オミクロン株という感染力の強いと指摘されている変異株が国内でまん延の兆しを見せているが、何とか子どもたちの活躍の場を奪わないでほしいと切に願っている。

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