スピードスケート女子の高木菜那や男子の清水宏保ら五輪金メダリストを輩出し、ウイリアムソン師円(浦河町出身)らが所属する日本電産サンキョーが1日、今月限りでスケート部を廃部すると発表した。
1957年に「三協精機スケート部」として創部。92年アルベールビル五輪男子1000メートル銅の宮部行範をはじめ、清水、長島圭一郎、加藤条治と五輪メダリストを次々と生んだ。2018年平昌五輪では高木菜が冬季大会で日本女子初の2冠を達成した。
今年2月の北京五輪への出場は、女子団体追い抜き銀の高木菜だけだった。日本電産サンキョーは廃部理由に選手を目指す若い世代が減り、レベルも落ちたことなどを挙げ、「企業がスピードスケートの発展に貢献するという当初の目的についての展望が持てない」とした。
同社は今村俊明監督と高木菜ら選手8人を引き続き社員として雇用する方針だが、「競技を続けたいなら支援したい」との姿勢も示している。今春入社予定だった北京五輪代表で18歳の堀川桃香(北海道・白樺学園高)にも同様の対応を取る。
スピードスケート界を半世紀以上支えてきた日本電産サンキョーが、廃部することになった。「伝統あるチームの歴史を閉じることになってしまった。私の力不足。申し訳ない気持ちでいっぱい」。今村俊明監督は沈んだ声で話した。
三協精機が前身で、これまで所属選手が獲得した五輪のメダルは8個。高木菜那が先の北京五輪の女子団体追い抜きで手にした銀が最後となった。北京の代表選手は高木菜だけ。「今の成績ではやむを得ない」。今村監督は名門の落日を嘆いた。
1968年創部の富士急で監督を務める長田照正さんは「スケート界へのダメージが大きい」と先行きを心配する。「五輪の申し子」橋本聖子さんらを育てた名伯楽。自前のリンクがないことが、継続的な選手育成を難しくした要因だとみる。
高木菜は長島圭一郎ら名選手に憧れて入社。「チームの先輩としてのプライドがある。この会社に入って本当によかったし、絶やしたくない」と語ったほど、愛着を持っていた。今村監督は「堀川(桃香=今春入社内定)さんを含めて今の選手と対話し、現役を続けたい人が良い環境でできるように全力でサポートしたい」と話した。

















