災害時、高齢者や障害者らをスムーズに避難させるため、苫小牧市内の一部の町内会が市の要支援者名簿を活用した見守り体制の構築に取り組んでいる。市社会福祉協議会の働き掛けで、非常時に必要な支援が行き届くよう、まずは民生委員や地域包括支援センター、市危機管理室と共に名簿が実態に即した内容になっているかを精査。すでに名簿の具体的な活用に乗り出した町内会もある。
東日本大震災など大災害発生時、高齢者らが逃げ遅れて犠牲になるケースが後を絶たないことを受け、国は2013年、災害対策基本法を改正。自力で避難できない人たちの情報をまとめた名簿作成を市町村に義務付けており、苫小牧市も更新、管理を行っている。
ただ、中には2世帯住宅で子ども世帯と一緒に暮らしている市民が独居高齢者として名簿に含まれていたり、病気などで急に体が不自由になっても名簿から漏れていたりするケースもある。名簿だけでは支援の必要度合いも見えにくく、実態に即した名簿作りを求める声が地域から上がっていた。
そんな状況を打開するため、市社協はまず地域活動に熱心な七つの町内会に働き掛け、昨年秋ごろから、名簿の精査に着手。地域の情報に詳しい民生委員や地域包括支援センターの職員も作業に加わり、漏れていた要支援者の発見や、支援を必要としている人の生活実態の把握を進めてきた。
双葉町町内会は名簿精査の結果、約70人が支援を必要としていることが判明したため一人ひとりの現況や住んでいる場所などを視覚化する地図を作成。優先度を決め、誰が誰をどのように支援するのかといった具体的な個別計画の検討に入っている。
住吉泉町町内会では「住民を孤立させない」を合言葉に、災害時の安否確認方法を協議中。要支援者の大半が公営住宅に暮らしており、避難時に1人で階段を昇降することが困難な人も少なくないため、地域全体で要支援者を見守り、有事の際に助け合える人間関係づくりを模索している。
市社協はこうした町内会の動きを紹介する「地域の見守り活動ホッとガイドブック集2 防災編」を製作中で、今月末までの完成を目指す。
地域福祉課の千寺丸洋課長は「高齢化が進み、町内会役員だけでは災害時に対応できなくなっている」と強調。「災害に強い地域をつくるには、市民一人ひとりの力が必要となっている」と訴える。
苫小牧では、町内会が市と個人情報に関する協定を結ぶことで、平時から名簿の情報を見守り活動に生かせる仕組みになっており現在、82町内会中47町内会が協定を締結。しかし、これまで名簿の積極的な活用事例はほとんどなく、地域福祉と地域防災の一体的運用が課題となっている。
















