国際的な人道支援活動にも力を注ぐシンガー・ソングライター、浜田省吾さんの作品に「初秋」という歌がある。こんな詞だ。〈戦火に倒れた 恋人を抱きしめて 泣き崩れる男を映す TVニュース…〉。海の向こうで戦争が始まり、激しさを増している。
中学生の頃に、苫小牧の映画館で見た「ひまわり」を思い出している。第2次世界大戦によって引き裂かれた男女の愛が描かれる。ソフィア・ローレンが演じた妻が、一面のヒマワリ畑をさまようシーンが印象的だ。ウクライナの首都キエフの南にあるヘルソン州で撮影されたそうだ。ヒマワリの美しさと戦争の残虐さのギャップを訴える。
4年前まで道政記者クラブで親しくしてきた記者が、モスクワ支局から伝えていた報道がテレビから突然、消えた。ロシア当局が「フェイクニュース」(偽情報)と見なした場合に、禁固刑を科す法改正を行ったためだ。子供たちもがれきに埋まる無差別攻撃も、ロシア側は「フェイクだ」と否定し続ける。
新聞史上最高のコラムニストと評され、46歳で早逝した深代淳郎さんは知人宅である日、紙ナプキンにさらさらとこう書いたという。「事実は真実の敵だ」。われわれにできることは、事実のかけらをできるだけたくさん集めることでしかない。でも真実はなおその先にある。そう伝えたかったのかもしれない。ウクライナでは真実を発信するため、各国のジャーナリストたちの命懸けの取材が続く。(広)









