苫小牧市は、市民がアイヌ文化を学べる環境の充実へ、2020年度以降、刺しゅうや木彫りなど体験型の講座を増やしたり、美術博物館の常設展のリニューアルを進めてきた。22年度は同館所蔵で、道の指定文化財になっている丸木舟を解説するデジタルコンテンツの更新を計画している。
市は地域でのアイヌ文化振興へ、アイヌ施策推進地域計画(20~24年度)を策定。アイヌ施策推進法に基づく国の交付金制度を活用し、当初事業費は5カ年で1790万円を計上した。
20年度は市内の活動拠点となる生活館(矢代町)を改修し、専門家を講師に迎えた▽刺しゅう▽木彫▽料理▽伝統工芸▽ムックリ(楽器)―の各講座を開設。総合福祉課の担当者は「毎回、申し込み受け付け開始日には朝から電話が鳴り、定員がすぐに埋まる人気」と言う。
21年度まで2年連続で、100人以上が受講したが新型コロナウイルス禍で料理の講座などが中止となっており、市の担当者は22年度は「動画の配信を含め、対応を検討したい」としている。
美術博物館は20年度以降、常設展示室の「アイヌのくらし」コーナーを順次、リニューアル。伝統楽器のトンコリやムックリの多彩な音声資料を調べやすくし、デジタル画面で解説文を見られるようにした。アイヌ民族の四季折々の様子を描いた「蝦夷風俗十二カ月屏風」は職員が手作業で毎月資料を入れ替え、年間12枚の絵図を紹介してきたが3月からは、函館市中央図書館などから借り受けた12枚のデジタル画像を使用。タッチパネル式の画面操作で絵図を自由に選んで、解説付きで鑑賞できるようにした。
今月7日、熊本市から観光で来館していた藤江剛宏さん(47)はタッチパネル操作に「大画面で、解説も見やすかった」と満足そうだった。
同館は22年度、アイヌの丸木舟を展示するコーナーに、1966年の丸木舟発掘時に撮影したフィルム映像や他の博物館の資料情報を追加。デジタル技術による解説を充実させる。
この他、市は観光振興へ、美術博物館や勇武津資料館などのアイヌ関連施設を英語、韓国語など多言語で紹介するウェブサイトを開設。同サイトにつながるQRコード付きの写真カードを関連施設で配布している。
コロナ禍で、姉妹都市のニュージーランド・ネーピア市で計画されていた現地先住民との交流行事など一部事業が中止となっているが、市の担当者は「今後も多くの市民にアイヌの文化、歴史に関心を持ってもらえるよう工夫したい」としている。
















