最近、年を取ったと感じるようになった。耳が遠くなり、視力も衰えた。階段を上り下りする足取りは重くなり、先日は足を踏み外して数段下に転げ落ちた。幸いにもけがはしなかったが、体の変化に戸惑いもあるのだろう。失礼、17歳になる愛犬の話。人間で言えば、おじいちゃんだ。
そんな愛犬に昨秋、大変な思いをさせられた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、苫小牧市が狂犬病の予防集合注射を中止したことが、悪夢の始まりだった。徒歩圏内に動物病院はなく、しぶしぶ愛犬を車に乗せたが、ゲージ入りを断固拒否し、車内で縦横無尽。隙を見て座布団を食いちぎり、車酔いして粗相した。
病院の狭い待合室で、興奮はピークに達し、居合わせた恐らくは雌の犬に、乗りかかろうとする始末。診察台におとなしく上がるはずもなく、飼い犬に手をかまれる無念さも味わった。いまさらしつけする気力もなく、何だかただただ謝りたいが、飼い主の最低限の責任は果たすことができた。
苫小牧市は今年度以降の集合注射を廃止した。安全性と衛生面を考慮したそうだが、接種率が低下しないか、心配している。近くの公園などで集まることは、利便性を高めるだけではなく、広報効果もあったはずだ。狂犬病は発症すれば、ほぼ100%死に至る病気。接種は法律による義務だが、どこまで徹底されるか、個人的な恨み言は抜きに注視している。(金)









