第三の居場所

第三の居場所

 子どもや子育て世代から高齢者まで、あらゆる世代が「ごちゃ混ぜ」に集える拠点を苫小牧市内につくれないか―。苫小牧港開発の呼び掛けで市や商工会議所、金融機関、不動産会社が参加して1年間、まちづくりを考えた。

 最初から「子育て」と「介護」に焦点を絞った検討会。意見が一致し、報告書に盛り込まれたのは、冒頭にあるような「第三の居場所」の必要性だ。家でも職場でもなく、気が向いたときにふらっと行ける居心地の良い場所。石川県の社会福祉法人佛子園から招いて話を聞いた雄谷良成理事長はそう説明する。「ごちゃ混ぜ」は同園の原点。保育所、障害を持つ人の支援施設、サービス付き高齢者向け住宅、介護施設、グループホームなどの施設から、そば店やカフェ、温泉まで、あらゆる「共生拠点」を展開している。

 どうすれば同じような居場所を苫小牧につくれるか。検討の中身を報告書の作成で終わらせないために、行動を始めなければならない。

 ロシア軍の侵攻が続くウクライナでは、家も職場も奪われ、避難していた地下シェルターからも追われ、行き場をなくした人たちが何百万人もいる。気が向いた時にふらっと行ける第三の居場所など、ぜいたくな望みのようにも思える。しかし、あらゆる世代や多様な人々が集い、交流し、誰ひとり排除しない―。その大切さを見失ったときから、争いの芽が生まれる気がしてならない。(吉)

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