捜索専念「早く見つけて」 知床観光船事故 サケ漁師も力尽くす

捜索専念「早く見つけて」
 知床観光船事故 サケ漁師も力尽くす
遺体の安置場所の献花台に置かれた行方不明者の早期発見を願うメッセージ=26日午後、斜里町

 「早く見つけてあげたい」。知床半島沖で26人が乗った観光船が遭難した事故は、27日で発生から5日目を迎えるが、なお15人が安否不明となっている。地元のサケ漁師らは5月に始まる春漁の準備を後回しにして捜索に当たる。

 オホーツク管内斜里町の男性漁師(64)は事故の発生翌日から捜索活動に加わる。同町は「サケの漁獲量日本一」(町水産振興会)で知られる漁業の町。男性によると、春の定置網漁の仕込みは通常、ゴールデンウイーク前に終えるが、今年はまだ手付かずだ。「やっぱり地元だから、(乗客)家族のことを考えると捜してあげたい」。漁の準備より不明者の発見に力を尽くす。

 男性は26日早朝、漁師仲間50~60人と漁船7隻で現場海域に出た。「何か手掛かりはないか」と、この日は漁船を岸に着け、海岸線を歩きながら不明者を捜した。ただ、昼すぎから海上の風が強まり帰港。進展はなかった。

 27、28日は天候悪化が予想され、捜索活動の手伝いを中断する予定。それでも地元漁師の「みんな早く見つかって」との思いは強く、天候回復を待って再び海に出るという。

3歳女児犠牲 広がる悲しみ

観光船「KAZU 1(カズワン)」が遭難した事故では、3歳の女児も犠牲になった。「まさか」「信じられない」。身元確認から一夜明けた26日、同世代の子どもを持つ母親らに深い悲しみが広がった。

 東京都葛飾区の加藤七菜子ちゃん(3)が通っていた都内の幼稚園では、園長が「遺族からは連絡があったが、取材には応じられない」と言葉少なに語った。園児らはいつも通りに登園したが、迎えに来た保護者は「けさ知ったばかり」「何も知りません」などと繰り返した。

 同園を卒園した息子(7)と入園予定の娘(3)を自転車に乗せた近所の女性(39)は「まさかとは思ったが、こんなに身近でびっくりした」と沈痛な面持ちで話した。

 香川県丸亀市の河口洋介さん(40)は、同県坂出市役所の生活環境課係長を務めていた。3月末まで同じ部署に所属していた上司の男性(53)は「すごく真面目で、一つのことに集中して向き合っていた。静かで穏やかなタイプ」と振り返った。事故当時は休暇中だったといい、「いまだに信じられない。残念だ」と力なく話した。

「怖い思いしたろう」 町民ら献花

観光船が遭難した事故で、犠牲者の遺体安置所になっている斜里町の体育館では26日、設置された献花台に多くの町民が訪れた。「怖い思いをしただろう」「家族が早く見つかって」。町民は手を合わせ、冥福を祈った。

 同町の佐々木幸子さん(73)は「知床でこんな事故が起きるなんて。多くの命が失われてしまい残念」と涙ながらに語り、「怖い思いをしたと思う。私たちができるのはこんなことくらい」と花を供えた。

 亡くなった3歳女児に縫いぐるみとお菓子を手向けたのは、同町の60代女性。「ニュースを見て居ても立ってもいられなくなった。早くお母さんが見つかってほしい」と涙ぐんだ。

 事故当日、漁師の夫が海に出ていたという30代女性は「夫は天候が悪く午前中に引き揚げた。事故が起き、残念で悔しい」と暗い表情。「自分も子どもがいるので、小さい子が亡くなったのはかわいそう」と声を詰まらせた。

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