2026年度に解体予定の苫小牧市民会館をめぐり、門標の保存を求める声が上がっている。揮毫(きごう)したのは、皇太子さま(今上天皇)に進講したこともある書家の桑原翠邦(1906~95年)。市は前向きな意向を示しているが、保存方法などの具体策は未定。苫小牧書道連盟の大澤尚洋会長は「市内の公共の場にある先生の作品はこれ以外にないはず」と話し、貴重な書の適切な保存を要望している。
翠邦は書道団体「書宗院」創立者で、書の普及のため全国を歩いた。門標を手掛けた経緯は不明だが、68年の会館建設当時、翠邦と親交があり、苫小牧東高校の教頭を務めたこともある廣田岳洋さん(故人)が招いたのではないかとされる。
大澤会長は大東文化大学在学中の64~68年、翠邦に師事した。「石の門標そのものの保存は難しいかもしれないが、拓本で残す方法もある」と話す。拓本は、石碑などに彫られた文字の上に湿らせた紙を乗せ、墨色を付けて写し取る方法。翠邦が書いた原本は現存していないとされ、「風化させずに屋内で保存するには、紙で残すのが現実的ではないか」と提案する。
市議会でも5年前に議題に上ったことがあり、当時の市民生活部長は「何らかの形で新しい施設の中に残すことができないか、検討していく」と答弁した。
会館は市民文化ホール(仮称)が開業する26年度中に解体される予定だが、市民生活課は現時点でも「検討中」としており、大澤会長らは作業を急ぐよう促していく。
















