春は近所の外回りの猫が活性化する。外が慌ただしいと、家猫のkスケも気持ちが高ぶる。毎朝、2階も含めて家中の窓をパトロールするのが日課だが、窓越しでも外猫とニアミスするとやっかいだ。強烈な臭いのスプレー行為が始まる。幼い時に去勢手術を受けたが、kスケの縄張り意識は強い。家内防衛に努める日々だ。
kスケがわが家に来たのは4年前。コラム子が心の安定を欠いて体調を崩していた時期だ。会社を休んで数カ月がたっていた。家人が、生後2カ月の保護猫を苫小牧保健所から引き取ることを決め、家に迎えた。野良で猫風邪やら何やらを患いながら、野性味のあるみてくれ通りのやんちゃな性格だったこともあり、すぐに振り回されるばかりの日常になった。次第に、凍結していたような感情と体調が変化した。一進一退だった心の状態が、前に進んだ一つのきっかけにはなったと思う。
有名人の悲報が続いた。事情には千差があり、外部が知る必要のないこともある。安易な論評はできない。けれど影響が懸念されるのも事実だ。
深い淵に立たされて身動きができなくなった時、何かほんの紙一重のことで、心の中に見えている幻から目を覚ますことがある。ほんのささいなことで心が動きだすかもしれない。
戦争、コロナ…、弱った心にダメージを与える問題が社会にはびこる。生活に癒やしが要る。原稿を書きながら、うちのマーキング猫をなでる。(司)









