「飽和潜水」不明者発見できず 船体引き揚げ準備作業着手 知床観光船事故

「飽和潜水」不明者発見できず 船体引き揚げ準備作業着手 知床観光船事故

 知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU 1(カズワン)」が沈没した事故で、深い海に潜水士を送り込む「飽和潜水」による船内捜索が20日、前日に続き行われた。第1管区海上保安本部(小樽市)によると、作業は午前11時50分に終了したが、行方不明者は見つからなかった。

 高い水圧に体を慣らした潜水士3人が、水中エレベーターでカズワンが沈む水深約120メートルの海底付近まで降下。20日は午前8時すぎから海中に出て船内外を確認したが、不明者発見につながる手掛かりは得られなかった。

 潜水士は捜索に加え、船体引き揚げのための調査も実施。専門業者「日本サルヴェージ」は21日、水深約120メートルの海底に沈んだ船体の引き揚げに向けた準備作業を始める。

 同本部などによると、北方領土の国後島で新たに見つかった遺体付近で、「ソヤマ・アキラ」と名前が書かれた運転免許証が発見された。

 国後島では6日にも女性の遺体が発見され、海保は沈没事故の不明者の可能性があるとみている。

 事故は4月23日に発生し、なお12人が不明。海保の潜水士が潜れる深さは60メートル程度が限界のため、海保は飽和潜水の技術を持つ専門業者「日本サルヴェージ」と不明者の捜索で契約した。

天候に左右、海上引き揚げが難関 最短5日間で作業完了


観光船「KAZU 1(カズワン)」の沈没から間もなく1カ月。知床沖の水深約120メートルの海底に沈んだ船体の引き揚げが始まる。海上保安庁は陸揚げまでの作業期間について最短で5日間を見込むが、進捗(しんちょく)は天候に左右される。また、海面上に出す際は大きな力が船体にかかるため、難しい作業になるという。

 海保によると、1日目はカズワンのドアやハッチなど開口部を全て閉じるほか、作業の妨げになるアンテナなどを取り外したり、落下しそうな物を固定したりする。作業は高い水圧に体を慣らした飽和潜水士が1日がかりで行う。

 2日目は潜水士がスリングと呼ばれるナイロン製のベルトを船底下に数本通し、作業台船で巻き上げる。船体は水面下10~20メートルまでつり上げて固定し、網走港沖までえい航する。

 3日目に船体を海面上に引き揚げる。クレーンで台船の上に移すが、海保の担当者は「海面から出す時、船体に一番力がかかる。慎重にやらなければならない」と話す。

 引き揚げた後は台船上で固定し、数日かけて水を抜く作業などを進める。網走港に台船を着岸させてクレーンで陸に揚げる計画で、一連の作業は5~7日間かかる見通し。

 海保は引き揚げ作業を担う民間の専門業者と約1億4000万円で契約。担当者は「現場海域は海流が速い。気象の状況次第で予定は延びる可能性がある」と話すが、荒天時の待機費用も含まれているという。

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