知床観光船事故 「水密隔壁」設置求めず 国交省 カズワンの穴一部未確認

知床観光船事故 「水密隔壁」設置求めず
国交省 カズワンの穴一部未確認

 知床半島沖で観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、国土交通省がカズワンと同じ航行区域を設定している全国の小型船舶について、「浸水拡大を防ぐ『水密隔壁』の設置は不要」として船舶検査を運用していることが3日、同省への取材で分かった。カズワンの隔壁には複数箇所に穴が開けられていたが、同省はこの運用に従い、一部の穴について検査で確認していなかった。

 カズワンの航行区域は、湾内と目的地を2時間で往復できる「二時間限定沿海」に分類される。小型船舶の設備要件を定めた安全規則は、この航行区域の船について、水密隔壁設置の要否を検査機関の運用に委ねている。

 カズワンには、船首甲板下に1枚、船体中央にある機関室の前後に1枚ずつの計3枚の隔壁がある。運航会社「知床遊覧船」の関係者によると、全ての隔壁に船員が通るための80センチ四方の穴が開けられていた。

 同省などによると、昨年の定期検査で、機関室前後の隔壁の穴については、機関室からの出火と延焼防止の観点からふさぐように指導した。一方、船首下の1枚は機関室と離れており、延焼防止と無関係のため確認をしなかったという。

 観光船3社不備は12件 沈没事故受け道運輸局検査

 知床半島沖の観光船沈没事故を受け、北海道運輸局は3日、事故を起こした運航会社と同じオホーツク管内斜里町で小型観光船を運航する同業3社への通常監査で、計12件の指摘事項があったと発表した。運輸局は、営業再開前に是正を確認するとともに、必要に応じ乗船による確認も行い、確実な法令順守につなげる。
 運輸局によると、監査で指摘したのは、労務管理記録簿の様式見直し▽旅客が順守すべき事項の事務所内掲示▽風速、波高など運航可否判断の基となる情報の記録―など11項目12件。うち9件は1社への指摘だった。
 運輸局は5月、斜里町ウトロ港を拠点に観光船を運航する会社に対し、緊急安全点検を実施。このうち小型船3社で不備があり、海上運送法などに基づき通常監査していた。

 斉藤鉄夫国交相は3日の閣議後の記者会見で、「法令上、水密構造の完全密閉は求められておらず、検査機関も確認していない」と説明。一方、安全規則に詳しい関係者は「規則は水密隔壁設置を否定しておらず、運用で設置を求めることができる。浸水の拡大を抑えるために必要だ」と話し、同省の運用を疑問視した。

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