苫小牧市内路線バス 利用者減少続く 道南バスに移譲後10年

苫小牧市内路線バス 利用者減少続く 道南バスに移譲後10年
苫小牧市内で道南バスが運行する路線バス

 道南バス(室蘭市)が苫小牧市内で運行する路線バスの経営が厳しさを増している。人口減少や少子高齢化の進展などを背景に利用者は減少傾向をたどる。2021年度(20年10月~21年9月)は前年度より若干利用が伸びたものの、収支は6年連続の赤字に。路線バス事業を市から引き継いで10年。同社と市は地域公共交通の維持存続に向けた模索を続けている。

 路線バスの各年度設定は、市の補助金支給期間に合わせて前年度の10月から1年間としている。21年度の利用者は前年度比1万3256人増の204万1941人となったが、収支は2億2050万3000円の赤字。高齢化の進展で、バスに安く乗れる高齢者フリーパスなどの利用が増え、収入が落ちたことも理由の一つにある。これに伴い、バス事業を支える市の補助金は1億1399万円となり、前年度に比べ2664万円増えた。

 16年度から連続して赤字が続く背景に、利用者の減少傾向がある。市の民間移譲で2012年に同社がバス事業を受け継ぎ、本格運行を始めた初年の13年度(12年10月~13年9月)の利用者数は355万4996人だったが、その後、減少が続き、18年度は286万4151人と300万人台を割り込んだ。さらに新型コロナウイルス感染流行が追い打ちを掛けて、20年度は前年度より60万人以上の大幅減。21年度も低水準のままだった。

 市営時代から赤字が続いていたバス事業の経営改善を図るため同社は、不採算路線の廃止や減便にも取り組んできた。バス事業を引き継いだ当時は21路線767便あったが、今年4月までに18路線590便に減らした。また、沼ノ端地区の人口増に対応した路線の見直しやダイヤ改正、QRコード決済システムの導入、高校生や看護学生らの協力によるデコレーションバス運行などさまざまな利用促進策にも力を入れた。

 それでも利用者は減り続け、ほとんどの路線で赤字が続く。同社は「人口減少の進展やマイカー普及などが背景にあると考えられる」と指摘し、「市民の理解を得ながら不採算路線の見直しや新設なども検討していきたい」と話す。経営の安定化に向けては、運転手不足や燃料費高騰などへの対応も欠かせないとする。

 一方、市は路線バスの維持に向けて昨年、地域公共交通計画を策定。将来的に路線を再編し、東西に市街地を貫く「東西基幹軸」と、それを補完する「支線」を整備。乗り換えの利便性や運行効率を高め、持続可能な公共交通サービスの確保を目指すとした。市まちづくり推進課は「バスは身近な移動手段であり、地域住民の足を守りたい」と話し、引き続き対策を模索していく考えだ。

 市民からも日常生活に必要な路線バスの存続を願う声が上がる。錦岡の奥村文子さん(88)は「中心部や東部に買い物へ出掛ける際に利用しており、暮らしに欠かせない」と話し、有珠の沢町の主婦(72)も「日中の移動で利用することが多く、路線バスを維持してほしい」と望んだ。

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