6年前から改選数が3に増えた参院選北海道選挙区では今回、自民党2人、立憲民主党2人の計4候補が事実上、三つの枠を争う展開だ。このうち誰か1人が落選するとあって、議席の維持・確保に向けた与野党の戦いが過熱する一方、同一政党内での票の奪い合いも激しさを増している。投開票は7月10日。(敬称略)
「長谷川岳が取り過ぎないようにしてもらわないとな」。自民党副総裁の麻生太郎は選挙戦を控えた18日夜、東京都内の日本料理店で元首相の安倍晋三にこう求めた。長谷川は安倍派所属の現職候補。麻生派の新人船橋利実を支援する麻生は、自民党の支持票が長谷川に偏らないようくぎを刺したのだ。
6年前に再選を果たした長谷川は、2位に9万票近くの差をつけトップ当選したが、もう1人の自民党新人は3位の旧民進党に8441票差で競り負けた。自民党道連は「2人当選させる票はある」(道議)と見るが、調整次第では6年前と同じ結果を招く可能性もある。
船橋は衆院議員時代の選挙区の札幌市と出身地の北見市に地盤を持つが、道全域での選挙は初めて。船橋を「重点候補」と位置付ける道連は組織票を長谷川から船橋に一部振り分けた。麻生や幹事長の茂木敏充らもたびたび応援に入るなど船橋への支援は手厚い。
「北海道の未来をつくらせてください」。17日の札幌市での総決起集会で、火の玉をイメージした赤いポロシャツ姿の船橋が叫んだ。陣営幹部は「北海道は広い。どこまで名前と顔を知ってもらうかだ」と強調する。
これと同時刻、長谷川は小樽市での集会の場にいた。同じ席で、船橋を推す日本維新の会の鈴木宗男が長谷川に向かって「あなたは絶対的優位で当選は間違いない。将来を考えるなら(船橋に)配慮しないと、あなたの先はない」と言い放ったという。
これに対し、18日に札幌市内で行われた長谷川陣営の総決起大会では、応援に駆け付けた前首相の菅義偉が「選挙が始まっていないのに優勢はあり得ない」と対抗心をあらわにした。
長谷川は取材に「最初から分けたり削ったりするなら自民党支持層は増やせない」と不快感を隠さない。
◇「股裂き」状態
「女性の議席をしっかり守り、次につなげていく責任が私にはある」。立憲現職の徳永エリは公示前日の21日、札幌市での総決起集会で声を張り上げた。
徳永は2期12年の経験を生かし、女性・若者の政治参画の必要性や農業政策をアピールして支持を着実に固める。だが、陣営幹部は「現職というおごりが危ない」と緩みを警戒する。
実際、6年前と状況は異なる。当時の民進は立憲と国民民主党に分裂。徳永だけが得た連合の推薦は今回、国民の候補にも出ている。立憲が今期限りで引退する現職鉢呂吉雄の後継として、新人石川知裕も擁立したことで、徳永陣営は「連合も立憲も股裂きだ」と焦りの色を見せる。
その石川は公示後の25日に札幌市で集会を開催。かつて秘書として仕えた党重鎮の小沢一郎を招き、「本当に厳しい戦いだ。現職の2人が先行している」と訴えた。鉢呂が心掛けた「現場主義」を引き継ぎ、全道を飛び回る。
石川は2019年の知事選に出馬し、野党統一候補として96万票を獲得。陣営幹部は「半分の人に書いてもらえば当選できる」と語るが、今回の選挙戦には国民や共産党も新人を立てており、どこまで票を固められるかは未知数。陣営は「うちは3番手争いになる」(関係者)とにらみ、支持拡大に懸命だ。NHK党も独自の戦いを展開する。
















