「不要不急の外出控えて」―。何度も目にしてきた見出しだが、全国紙を読むと新型コロナウイルスではなく、熱中症への注意喚起だった。「逼迫(ひっぱく)注意報」もコロナ感染者を受け入れる病床数の話ではなく、電力需給の見通し。経済産業省は、電力の安定供給に最低限必要な予備率が3%を下回る見通しとなった場合に「警報」、3%~5%未満で「注意報」を、前日に発令する。さらに、5%を下回ることが見込まれる場合、前々日に事業者が「準備情報」を発信するという。北海道でも6月27日、北電ネットワークが初めて準備情報を出した。
注意報や準備情報は、同省が新たに設けた制度。東日本大震災の時の計画停電も、胆振東部地震のブラックアウトも経験した身としては、準備情報が出たら何をすればいいのか―と、急いで調べた。ところが「具体的な節電行動を求めない一般的な情報提供」だという。
道経産局などが同29日に開いた電力需給に関する連絡会でも、警報、注意報、準備情報が分かりづらいと出席者から意見が出た。同局は「細かく知らせたいということで制度を整備した結果、やや分かりづらくなった」と説明したという。三つの情報発信について、同省の資料には「節電要請の高度化」とある。いきなり警報で節電を迫られても対応できないと産業界から批判が出たのを受け、導入したのだとは思うが、「高度化」には首をかしげてしまう。(吉)









