快挙を引っ提げて、大舞台に乗り込むのは女子やり投げの北口榛花(JAL、旭川市出身)だ。世界のトップ選手が集うダイヤモンドリーグ(DL)で、日本選手として初優勝。世界選手権の表彰台という、さらなる偉業も現実味を帯びている。
DL初出場だった6月18日のパリ大会。大歓声に包まれながら、3投目に63メートル13をマークして優勝。「言葉にならないぐらい、びっくりしている」。喜びに浸りつつ、感触は「ちょっと物足りない感じ。いつぴったりはまるのかな、というもどかしさがある」。24歳は大きな可能性を秘める。
昨夏の東京五輪は、日本勢で57年ぶりの決勝進出。しかし、予選で左脇腹を痛め、五輪後は運動を制限される時期が約3カ月続いた。「いったん落ち着く機会を得られた」。心身共にリフレッシュし、冬場から1日2度のハードな練習を続けてきた。
2019年から、やり投げ王国とも言われるチェコ出身のコーチに師事。練習拠点も同国に置く。試行錯誤して「ある程度、こう投げられれば飛ぶという一つの指針みたいなものができ始めている」。60メートル台を安定して投げる地力が付いてきた。
五輪を含め、日本の女子選手が投てき種目でメダルを獲得すれば史上初となる。DL制覇で周囲の期待も高まる中、「今年は入賞」の目標は変わらない。「次の年(の世界選手権)はメダル、パリでは金メダルを取れるように、一年一年上がっていければ」。24年パリ五輪を見据え、一歩ずつ歩みを進める構えだ。

















