市非核平和都市条例を評価 大阪大大学院の浜さん、他自治体と比較研究

市非核平和都市条例を評価
大阪大大学院の浜さん、他自治体と比較研究
非核平和都市条例について鳥越元市長(左)と意見交換する浜さん(右)=17日、住吉コミセン

 非核平和運動と地方自治体の関係を研究している大阪大大学院博士後期課程2年生の浜恵介さん(45)=香川県在住=が、苫小牧市の非核平和都市条例に着目し、博士論文の執筆準備を進めている。論文は全国の非核条例がテーマだが、苫小牧市の条例を高く評価し昨年度から関係者への電話取材などを本格化させており、17日に初めて来苫。市民団体主催の集会で調査経過を報告し、意見交換した。

 「核兵器を否定しますと明確に言っている(条例がある)のは国内に3カ所だけ」

 住吉コミュニティセンターで同日開かれた「非核平和都市条例」を考える会主催の集会。浜さんは、核兵器排除の法的具体化を目指す条例を制定する難しさに言及した。

 浜さんの調査によると、非核平和を宣言している自治体は少なくないが、条例を制定しているのは1995年の神奈川県藤沢市、2002年の苫小牧市、08年の長崎県時津町だけで「それ以降はない」と指摘。特に苫小牧市の条例について、非核三原則の趣旨が損なわれる恐れが生じた場合、関係機関と協議し、「必要と認めるときは適切な措置を講じるよう要請する」(第5条)と明記している点を高く評価する。

 広島市生まれの浜さんは、原爆詩人峠三吉の縁戚。大学時代の恩師が広島出身の被爆者だったこともあり、平和運動に強い関心を持つ。自治体職員を経て、現在は香川県の団体職員として働く傍ら、昨年6月から大学院で研究を本格化。行政の役割にも踏み込み、全国の自治体で非核平和運動が成功したり、失敗したりしている要因も探っている。

 17日の集会で、浜さんは苫小牧市の条例成立について、長期の革新市政や自治体側からの提起だったことを要因に挙げ、「女性たちを中心に超党派の市民運動が長く続いていたことも、保守系を含めた支持の取り付けにつながったのではないか」と分析した。

 同条例制定時の市長だった鳥越忠行さん(82)は詳細な報告に敬意を表し、当時、苫小牧で浮上した米艦船「ブルーリッジ」の寄港問題について「何か(拒否する)後ろ盾が欲しかった。条例があれば市長の個人プレーではなく、市民を挙げた条例に基づく行動となると思った」と振り返った。

 数年かけて博士論文を完成させる計画の浜さんは、ロシアのウクライナ侵攻など軍事的な脅威を背景に「自治体の非核、平和活動も今後、厳しい状況になるのは間違いない」と危機感を示しつつ、自身の研究の着地点を模索している。

 市非核平和都市条例は、まちを挙げて核兵器廃絶と平和の推進に取り組むため2002年4月に施行。市民団体の署名運動や要望活動を通し、道内で初めて制定された。全7条から成り、非核三原則の普及や他都市との平和交流、核実験への反対意見の表明など平和行政に関する基本事項を定めている。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る