コロナ医療の実態訴え 北大病院の中久保医師 感染対策「めりはりを」 「肺の日」市民公開講座

コロナ医療の実態訴え 北大病院の中久保医師 感染対策「めりはりを」 「肺の日」市民公開講座
「感染リスクを減らし、日々の生活を楽しんで」と中久保医師

 日本呼吸器学会北海道支部と公益財団法人日本呼吸器財団は7月30日、「肺の日」(8月1日)にちなんだ市民公開講座を苫小牧市医師会館で開いた。講演で、北大病院感染制御部の中久保祥医師が新型コロナウイルス感染症医療の実態を説明。「めりはりある対策を」と訴え、市民ら約70人が熱心に耳を傾けた。

 中久保氏はコロナ感染拡大の変遷について▽「第1波」「第2波」は未知のウイルスと対峙(たいじ)し、感染者数は少なかったものの行動制限が行われた▽「第3波」以降は変異株の登場で重症化率、致死率が上昇した―と解説。札幌市のデータなどを基に「第4波で感染した80歳以上は4人に1人が亡くなった。高齢者に厳しい感染症だった」と指摘した。

 症状の定義については「中等症は酸素投与、重症は人工呼吸器が必要な方」とし、「人工呼吸器を使わず中等症のままで亡くなったり、医学的に最重症の方もいたりした。第3~5波はとても厳しく、個人的には医療崩壊していたと思うが、大半の方は直接関わりがなく、静かな災害、当事者以外は見えない災害だった」と振り返った。

 その上で「ワクチンが劇的な効果をもたらし、高齢者の死亡率は劇的に減った。(第6波以降は)前進、改善している」と評価しつつ、感染者数が桁違いに増えている現状に「重症化や死亡もその分増える。感染者数を減らす努力が必要」と強調。ワクチンの普及、オミクロン株の弱毒化などで重症化率は低下したが、「コロナと風邪は全く違う。大勢にとって風邪のようでも、感染力ははるかに強く、一部で重症化し、亡くなる方がいる」と警鐘を鳴らした。

 市民に対しては「めりはりある対策」を提唱。▽ちょっとした体調不良でも無理せず休憩を▽対策の基本は手洗い▽マスクをする意味は、うつさないが7割、うつらないが3割。思いやりでマスクをし、屋外など周りに思いやる人がいなければ不要▽過剰な接触感染対策は見直すべき▽ワクチンは自分の身を守るためにも大切―などと呼び掛けた。

 さらに、社会経済活動の継続と医療機関の負担軽減に向け、セルフケアの考え方を取り入れるべきと提案。「いつでも誰でもコロナにかかる、これからが本当のウィズコロナ。若くて元気で普段健康な方にとって、具合が悪いイコール検査ではない」と述べ、自宅療養への理解や重症化への早期対応が進むことを願った。

 公開講座は市内では初開催で、テーマは「ウィズコロナ時代の呼吸器疾患を共に学ぼう」。苫小牧市のすがわら内科呼吸器科の菅原洋行院長がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)治療、王子総合病院リハビリテーション科の中野大輔医師が呼吸リハビリテーションについてそれぞれ講演した。

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