新津波想定に住民困惑 苫小牧市 ハザードマップ改訂の説明会 被害拡大で「逃げられない」避難施設の整備要望も

新津波想定に住民困惑 苫小牧市 ハザードマップ改訂の説明会
被害拡大で「逃げられない」避難施設の整備要望も
ハザードマップの改訂について説明する市職員。津波発生から避難までのシミュレーションも示した=8日、苫小牧錦岡小

 道が昨年7月に公表した太平洋沿岸の新たな津波浸水想定を踏まえ、今年度内の津波ハザードマップ改訂を目指す苫小牧市。今月上旬までに市内7地区で地域説明会を開き、新マップの原案を示したが従来よりも被害範囲が拡大する想定である上に避難が困難な地域もあり、出席者からは戸惑いの声が相次いだ。

 新マップはA1判で、地域別に17種類作成する予定。市内の浸水域は前回想定(2012年)の約1・3倍の1万224ヘクタールで第1波の到達時間は9分早まり、最速40分。

 市によると、避難ルートの検討で歩行速度を毎秒50センチとし、地震発生から10分後に避難行動を開始した場合、第1波到達までに浸水域外へ逃げることが難しい地域も出てきた。

 そこで市は現時点で考え得る避難ルートを記した新マップの原案を作成。7月29日から8月9日にかけ、市内を7地区に分けて町内会役員対象の説明会を開いたところ、62町内会から117人が集まりさまざまな質問や意見を寄せた。

 「逃げろと言われても、これでは逃げられない」と訴えたのは、若草団地町内会の橋本春季会長(83)。道が先月下旬に明らかにした被害想定で、苫小牧市は津波で最大4万人が死亡し、避難者も6万2000人に上ることに触れ「桁が多くて、驚いた。どうすればよいのか分からない。市の知恵をもっと借りたい」と切実な思いを吐露した。

 川沿町町内会の押本武会長(70)は被害範囲の拡大を踏まえ、「今まで以上に避難所を使う人が増えるはず。必要なら避難者を分散させるため、別の(避難)ルートを町内会でも考えたい」と述べ、既存避難所の収容可能人数などを質問していた。

 市に新たな避難施設の整備を要望する声もあった。勇払自治会の萬誠会長(74)は「地域内で高さがある施設は学校と日本製紙のアパートぐらいで、そこまで逃げるのが難しい人もいる」と指摘。「(高さ)10メートル程度の築山を整備すれば普段は、公園としても利用できる」と提案した。

 このほか、交通量の多い幹線道路や線路は災害時に横断できず、避難の障害になるとし、対策を求める声も上がった。

 今回のマップの原案は、指定済みの津波避難ビルや避難所をベースに策定しており、市は各会場で「避難場所の追加も検討中」「引き続き意見を聞きたい」と理解を求めた。

 一方で、新たな津波浸水想定を踏まえた訓練の動きも。ときわ町内会(小山征三会長)は21日、町内のすこやか公園で開いた花火大会に合わせ、自主防災組織の運用手順や動きを確認した。

 同公園は一時避難場所に指定されており、花火会場で同組織が訓練を兼ねて警備や誘導に当たったほか、入り口に感染症対策の衛生班を配置。広報班は、来場者を町内会の区ごとの観覧スペースへ案内した。

 小山会長(65)は「新想定では、避難が一層厳しくなっている。胆振東部地震の時のブラックアウトも念頭に、住民が避難場所に向かう途中にある幹線道路を渡る歩道橋の整備なども要望していきたい」と話した。

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