ディノスシネマズ苫 新たなスタート 住民に愛される映画館実感

ディノスシネマズ苫 新たなスタート
住民に愛される映画館実感
新たな一歩を踏み出したスガイディノス苫小牧の杉支配人

 運営会社の民事再生法適用申請を受け、一時休業に追い込まれた後、段階的に映画の上映を再開させているディノスシネマズ苫小牧(苫小牧市柳町)。先月からは大手配給会社の新作公開もあり、にぎわいを取り戻しつつある。2015年から支配人を務める苫小牧市出身の杉保智さん(40)は、営業再開を強く願う市民らの声に「励まされた」と感謝。「配給会社との交渉はまだ続いているが、地域に愛される映画館を守りたい」と力を込めた。

 5月30日夜、運営会社スガイディノスの民事再生法適用申請が報道発表されると、4日前に公開されたばかりの「トップガン マーヴェリック」をはじめとする上映作品中止の指示が下り、館内ポスターの撤去作業などに追われた。杉さんは「映画館に足を運んでくれたお客さまを帰す結果となり、本当に申し訳なかった」と振り返る。

 会社側は新たな譲渡先を探す一方、配給会社との交渉に着手。同館は6月17日から海外の映画祭で高い評価を得た室蘭市在住の坪川拓史監督の作品や同市出身の俳優安田顕さんらが出演する作品などの上映を再開させた。ただ、公開日から日数がたった作品が中心で国内3大配給会社といわれる東映、東宝、松竹が扱う最新話題作の上映については不透明なままだった。

 事態が大きく動いたのは、運営会社の事業譲渡先が東京のアミューズメント会社に決まった7月下旬以降。東映配給の人気アニメ「ワンピース」の最新作上映が全国公開と同時の8月6日に実現した。

 初日は道内最多の1日15回上映をこなすため、午後8時以降のレイトショーを復活させた。週末でも1日100人を下回る状況から一転、同作の上映初日には1000人以上が来場。杉さんは「あの館内のにぎわいには感動し写真に収め、保存した」と言う。

 その後、「トップガン」の再公開、東宝配給の新作「アキラとあきら」上映などで8月の観客動員は前月の約10倍となり、前年同月並みまで回復した。9日からは松竹配給の「HiGH&LOW THE WORST X」が公開される。

 この間、FMとまこまい実行委員会や地元アーティストが同館でイベントを開催したり、俳優宇梶剛士さん、映画監督下山天さん、苫小牧市出身の俳優奥野瑛太さんらが舞台あいさつに駆け付けたりと多くの人たちの支えがあった。

 「待っていてよかった」「私たちはここでしか見られないから、頑張って下さい」―。営業再開後、幅広い年代の人たちからもらった言葉の数々に胸を熱くしたという杉さんは「地域に愛されていた映画館だったと再認識できた。映画館のともしびを消さない」と改めて誓う。

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