苫小牧 事業化の適地 CCUS推進協が総会 経産省 23年度から具体的検証

苫小牧 事業化の適地 CCUS推進協が総会 経産省 23年度から具体的検証
苫小牧でCCUS事業化実現への機運を高めた講演会

 苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会(会長・岩倉博文市長)は12日、今年度総会と講演会を市内のホテルで開いた。脱炭素社会の実現に向けた二酸化炭素(CO2)を回収、貯留する「CCS」技術で、国が2030年の商用化を目指す中、官民が最新の取り組みなどを解説。企業や団体など約170人が参加し、「苫小牧は事業化にふさわしい可能性がある」と再確認した。

 苫小牧では国の大規模プロジェクト、「CCS」の実証試験を12年度から展開。事業を受託する日本CCS調査(東京、JCCS)は16~19年、海底の地層にCO2を目標通り30万トン貯留し、CCSが安全に実用化できる技術であることを確認。21年度からはCCSに「有効利用」を意味する「U」を加えたCCUS拠点化実証事業を展開し、24年度にも液化CO2の船舶長距離輸送を計画している。

 講演で経済産業省資源エネルギー庁の佐伯徳彦企画官(CCUS政策担当)は「30年までのCCS事業開始を目標に、事業実施に必要な支援措置を含めたロードマップを年内にもまとめる」と説明。事業化の課題として▽法整備▽コスト低減▽政府支援▽国民理解―の四つを挙げ、23年度から事業可能性の検証を具体的に進め、26年度までに最終投資判断するスケジュールなどを紹介した。

 その上で苫小牧のCCS実証試験などについて「都市部に近いところで、企業、住民、漁業者の理解で行ったのは世界でもまれ。苫小牧の経験は何かにつけて重要」と強調した。事業化する適地については「個別にどこがいい、悪いとは言えない」と前置きし、「苫小牧はCO2排出と貯留のエリアが重複し、全国でもモデルとなる可能性がある」と述べた。

 石油資源開発(東京)の池野友徳執行役員は、21年度から国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業で行ってきたCCUS実現性可能性調査を踏まえ、「苫小牧で排出事業者と利用者を結ぶ『CCUSハブ&クラスター』を実現したい」と意欲を示した。利活用先の確保が課題とし、「CCUSで事業を展開することが肝要」と訴えた。

 さらに国が23年度にもCCS事業を公募した場合、「苫小牧での事業を応募したい」と明言。同社は胆振、日高地域で天然ガスや石油を採掘してきた背景から、「苫小牧エリアの地中には知見があり有利。スケジュールも短縮できる。できるだけ早くCO2の圧入を始めたい」と述べた。

 総会では活動方針などを承認し、産業間連携や市民への周知などを推進することを確認。岩倉市長はCCS実証の歴史、CO2の実質排出ゼロを目指す市の「ゼロカーボンシティ」宣言などに触れ、「まちぐるみでゼロカーボンにチャレンジしたい」と呼び掛けた。

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