2018年9月の胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真、安平、むかわ3町の今を語り合う座談会が29日、厚真町総合福祉センターを会場にオンラインで開かれた。被災3町で活動する4人の事例発表のほか、3町長を交えての意見交換を行い、復興への思いを共有した。
震災の経験や記憶と現状を伝えるとともに、復旧から復興、その先の地方創生を加速させることを目的に、胆振総合振興局と胆振町村会、3町が共催した。
厚真町のハスカップ農家で「あつまみらい」の山口善紀代表取締役は、震災でハスカップや苗木が大量に土砂に埋まり、農業用の倉庫、施設のうち4棟が全壊するなど被害があったことを報告。被災で注目されたことを機に「厚真町のハスカップを知ってもらいたい」と全国各地の催事や物産展に出店し、厚真産ハスカップをアピール。10月下旬に札幌市内でテークアウト専門店をオープンさせるなど精力的に活動していることを紹介した。
同町観光協会の原祐二事務局長は、被災地ガイドをはじめ、段ボールベッドの組み立てと避難所運営をゲーム感覚で疑似体験する取り組みを併せたプログラムを通して「災害への備えや思いやり、絆の大切さなど学んだことを伝えたい」と話した。
安平町早来小学校の網代健男教頭は、校舎が被災した早来中学校の再建として来春開校する小中一貫の義務教育学校「早来学園」について、「地域や社会課題をテーマにした学習の実現を目指す。児童生徒だけではなく、地域の方々も学べる場所になれば」と話した。
「香山リカ」のペンネームで知られる、むかわ町国民健康保険穂別診療所の中塚尚子副所長は、穂別での生活を通じて「地元では欠点と言われていることが、都会では理想的な生活でもある」と強調。「豊かな自然があり、医療・福祉がシームレスにつながっていて、コミュニティーも生きている。強みに変えていけたら」と説いた。
この後、3町長を交え、それぞれの町が持つ魅力や思い描く今後のまちづくりについて、意見を交わした。

















