苫小牧市の万葉集研究サークル「さわらび会」(窪田美津子会長)は、10日の特別例会を最後に36年の活動に幕を閉じる。元苫小牧高専教授の森山弘毅さん(84)=啓北町=を講師に394回の例会で万葉集全20巻、約4500首をほぼ読了。森山さんは「元気なうちに幕を閉じたいと思った。会員が熱心で楽しかったから長く続けられた」としみじみ語る。
同会は1986年12月に発足。市公民館(現市文化交流センター)で森山さんが古典講座の講師を務めていたことがきっかけで、受講生らが講座だけで学びを終えるのは惜しい―と有志を募り、会員22人で活動をスタートさせた。
万葉集の「石走る垂水の上のさわらびの萌え出(い)づる春になりにけるかも」の句から「さわらび会」と命名。春になった喜びを表した句で、明るい希望を持って名付けたという。
会の目的は▽万葉集を詠む▽会員同士の親睦を図る▽万葉の旅をすること―の三つ。月に1度の例会で万葉集を詠むほか、約2年に1回は万葉集で取り上げられる地域を訪ね、万葉人に思いをはせてきた。例会では新潮日本古典集成「萬葉集」をテキストに1度に10首程度を読了した。
取り上げる句に登場する単語の用法も紹介し、2枚のレジュメには毎回約50首の句を列挙。森山さんは「延べ1万首は詠んだ」と語る。
万葉の旅は36年間で16回行った。3泊4日程度で、1回目は89年、飛鳥や斑鳩(いかるが)といった大和路。その後2回続けて大和路を訪れ、95年以降は九州や信濃にも足を延ばした。訪問前には事前学習を行い、帰宅後は余韻を楽しみながら「旅の記し」を書く。
2015年から会員の徳田トク子さん(74)は「万葉人の思いを追体験できる。最初は万葉歌碑の前で朗詠するのが恥ずかしかった思い出があるが、近年はそれが楽しかった」と話す。
20年には山陰地域を訪問予定だったが、コロナ禍でやむなく中止。来年11月に思い出の地、大和路を訪れる計画という。
新年会に行う「万葉百首カルタ」も会を代表するイベント。1988年に会員が百首を選歌し手作りした木の板のカルタで、森山さんは「さわらび会にしか存在しない誇らしいこと」と胸を張る。
現在会員は27人で、発足当初から在籍する窪田会長は「先生あってのさわらび会」と強調。徳田さんも「国語が苦手で最初は全然分からなかったけれど、いつの間にか先生の魅力に引き付けらていた」と語る。
札幌市や桧山管内江差町から通う人もおり、会員は36年間で延べ97人に上る。
森山さんは「(1989年に釧路公立大へ転任後も)毎月駆け付けた」と回顧。「1人の講師で36年間万葉集を詠み、20巻をほぼ読了した会はない。ここまでよくやれた」と満足そうだ。
3日に最後の例会があり、10日午後1時半からは市立中央図書館で会員と元会員を対象にした「さわらび会の36年―さわらび会は楽しい、万葉集は面白し―」と題した特別例会を開催。活動に終止符を打つ。
















