日本、残した確かな足跡 激闘の末、成長見せる

日本、残した確かな足跡
激闘の末、成長見せる
クロアチアに敗れ、サポーターにあいさつする日本代表=5日、アルワクラ(時事)

 激戦に終止符が打たれ、日本の選手たちは一斉に泣き崩れた。立候補制だったPK戦で名乗りを上げた3人が失敗。南野、三笘は倒れ込んだまま起き上がれない。「悔しさしか残っていない」と三笘。涙で目を真っ赤にし、言葉を絞り出した。

 前半43分、日本の課題だったセットプレーから幸先良く先制点を奪う。右CKから短くつなぎ、最後は前田が押し込んだ。だが、クロアチアは一瞬の隙を見逃さない。後半10分、ヘディングをたたき込まれ失点。寄せが遅れ、自陣左から簡単にクロスを入れられた。

 その後はスピードのある浅野、三笘の同時投入などでドイツ戦やスペイン戦の再現を狙ったが、好機を生かせない。延長戦はカウンターの出足が遅れ、パスの精度も落ちた。司令塔のモドリッチを抑えつつ、攻守に奔走した守田は「PKになる前に決着をつけるべきだった。チームの力不足」とうなだれた。

 相手は日本の弱点である高さを突こうと、なりふり構わず浮き球を放り込んできた。それでも体をぶつけ、競り合い、2点目は許さない。4年前は2―0とリードしながら反撃に出てきたベルギーにあっという間に追い付かれ、壮絶な逆転負け。成長を感じる部分もあった。

 「4年前は長引いたらきついっていう感覚。今は長引けば長引くほど特長が出せる」とは主将の吉田。1次リーグで優勝経験のある強豪を破り、世界を驚かせた自信があった。120分の死闘でも根負けせず、攻撃に変化をつけられる駒もそろう。チーム力の底上げは示した。

 史上初の8強入りへ期待が膨らむ中で迎えた一戦だった。夢は次回以降に持ち越されたが「誇りを持って前に向かってほしい」と森保監督。惜敗したとはいえ、その戦いぶりは十分に「新しい景色」を見せた。未来につながる足跡を残し、森保ジャパンがカタールの地を去る。

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