街中と高校生をつなげよう―。苫小牧東高校弓道部(部員39人)が冬期間、苫小牧市中心部の空き店舗で練習を重ねている。練習場所の確保に悩む同部に向けて、苫小牧駅前スポーツ文化振興会(TESS、木村司代表幹事)が高校生と街の交流を狙いに設定した粋な計らいだ。
同部は昨年11月から、北光ビル=市表町=の1階スペースで冬期間の練習を行っている。夏場は屋外で練習に励んでいるが、冬になると積雪で巻きわらを用いた練習ができなくなる。同校の敷地内に道場はあるものの、40人弱の部員が一度に練習できるだけの広さはない。コロナ禍で密集を避けるため、部員を半分に分けて1日おきに練習を行わなければならず、練習不足に悩まされていた。
空き店舗を見つけた顧問の鈴木圭子教諭が弓道部の練習に使わせてほしい―と打診したのをTESSが快諾。普段は文化サークルの練習場やライブ会場として使われているスペースに的を四つ並べて射場にした。天候に左右されず、練習量が確保できる環境に「生徒も満足いく練習量が確保できるようになり、現2年生が全国大会に出場できるまでの技術を身に付けられた」(鈴木顧問)。
今年も11月に会場設営が行われた。田中彩音部長(2年)は「より多くの部員が同時に練習できることで技術向上につながっている。私たちがここで練習させてもらうことが街の活性化につながっていたらありがたい」。笹浪湊一部長(同)も「天候に左右されずに、多くの的で練習できるのは他校に比べてアドバンテージ」と話している。
弓道部から始まった結び付きは、他の部活動にも広がっている。美術部が空き店舗のシャッターに特大絵を描いたり、ボランティア部や生徒会執行部が市道王子通沿いの花壇清掃を行ったりと、市中心部で汗を流す機会が増えている。
TESSの担当者は「苫小牧の欠点は、高校生が街に関わらないまま就職や進学で苫小牧を離れてしまうところ。生徒に街の思い出を記憶に残してもらいたい」と話した。

















