苫小牧市出身の映画監督三浦大輔さん(47)は10日、シネマトーラスとディノスシネマズ苫小牧で、市内を主なロケ地とした新作映画「そして僕は途方に暮れる」(13日全国公開)の舞台あいさつを行った。両館に市民ら計200人が来場。先行上映会の後、三浦さんによる撮影秘話などに耳を傾けた。
同作は三浦さんが脚本と演出を担当し、2018年にシアターコクーン(東京)で上演されたオリジナル舞台を映画化した作品。Kis―My―Ft2(キスマイフットツー)の藤ヶ谷太輔さん演じる主人公菅原裕一がささいなことから恋人、親友、家族などあらゆる人間関係を断ち切っていく、人生を賭けた逃避劇を描く。
三浦さんは「苫小牧で撮影して映画になり、舞台あいさつできてうれしい」と笑顔。「舞台は演出を重ねる中でベストが出るので、(今回の映画も)何度も撮り直したが、最終盤で藤ヶ谷君が土下座するシーンに関しては1回目のものを採用した」「映画の中に苫小牧のローカル番組が流れるシーンもある」などと裏話も披露した。
質疑応答で「思い入れのあるシーン」について問われると「最後に藤ヶ谷君が振り返る場面。先に続く良い終わり方ができた。苫小牧で撮った映像が多く、もし続編制作が決定すれば、また苫小牧でロケをやりたい」と述べた。
夫婦で会場を訪れた市内青葉町の秋野隆英さん(77)は「(JR苫小牧)駅前でのロケを見に行ったので、『ここで使われているのか』と確認しながら楽しんで見ることができた」と満足そう。妻の宏子さん(76)は「人が逃げ出したくなる衝動がうまく表現された作品」と感心していた。
三浦さんに映画の見どころや苫小牧での撮影などについて聞いた。一問一答は次の通り。
―映画化のきっかけは。
「舞台の映画化はぼんやりとしか考えていなかったが、舞台から3年後にコロナが流行。プロデューサーから『世間が人間関係を見詰め直すタイミングになり、作品を映画にすることが(時代に)フィットしている』と提案されたことがきっかけ」
―撮影時に意識したことは。
「舞台でやれば『いい』と言われるのが、一番駄目な映像化手法。役者の表情で伝えたり、せりふを短くしたりと映像ならではの工夫をした」
―見どころは。
「誰でも逃げたくなる衝動はあるが、(主人公のように)人間関係を断ち切ってまで逃げ続ける人はいない。ただ、一歩間違えると主人公みたいになり得、日常と地続きの話だと思っている。主人公の行き先を最後まで見届けてほしい。最初は主人公を反感の目で見てしまうが、どこか思い当たる節も出てくる。主人公を自分に投影して一人ひとりの物語になれば」
―苫小牧をロケ地に選んだ理由は。
「(作品は)僕の実体験ではないが主人公に自分を投影したかったので、生まれ育った苫小牧を選んだ。土地勘はあるのでロケ地やシーンのイメージもつきやすかった。苫小牧の田舎でも都会でもない曖昧な空気感が作品に合っていた」
―ロケを行った場所や時期は。苫小牧市民のエキストラ出演はあるか。
「2021年4月に5日間ほどかけてシネマトーラスや苫小牧駅北口、フェリーターミナル、喫茶ドンドンなどで撮影した。総勢100人以上の苫小牧市民がエキストラ出演した。苫小牧での映画のロケは初めて」
―今の苫小牧の印象は。
「駅前に活気がなくなったのは寂しい。以前はファンタジードームやダイエーなどがあり、にぎわっていた。一方でイオンやユニクロなどができ、元気な部分はあり安心する。苫小牧には独特の空気感があり、撮影隊や出演者も良いまちだと話している人も多く、肌に合う人は多いと思う」
















