第168回芥川賞・直木賞の受賞作が19日に発表されたが、周囲はあまり盛り上がっておらず拍子抜けしている。両賞ともダブル受賞でインパクトが弱まったか。賞への関心が下がったとは思わないが昔よりも話題にならなくなった。書き入れ時の書店が受賞作家の過去作品を集めたコーナーを設けるなど一生懸命でも本屋に足を運ぶ習慣のない人が増えた。
スマートフォンの普及や活字離れを背景に書店のない自治体が全国で3割弱に上るという。市内でもこの20年ほどで廃業が相次いだ。書店が主たる情報収集の場ではなくなっても個人的には未知の新しい本に囲まれたときの妙な安らぎは他には代え難く、膨大な情報量に右往左往させられる感じも嫌いじゃない。行きつけの店は意中の作家の本がいつも在庫切れし、注文しても届くのに時間を要するがわくわくしながら待つことができる。
書店は地元作家らを応援、紹介する役割も担ってきており、地域に根差し続けること自体が作家の励みになる。娯楽は多様化しているが、書店の良さが見直される日は必ず来ると信じている。今回の直木賞作家の1人、千早茜さんは江別市出身。同賞は馳星周さん、西條奈加さんなど本道出身作家が相次ぎ受賞しており、本を買って店も応援したい。(輝)









