北海道が一番暖かい―。全国の冬の室内温度の比較では北海道が最も暖かいとテレビで紹介されていた。屋内に常設の大きな暖房器具を置く習慣のない、本州の中央から西側では外気温とあまり変わらない室内で、厚着をしてこたつに入り背中を丸めて春を待つという。この間の大寒波は、さぞつらいに違いない。寒がりの道産子にはとてもまねできない。
戦後の生まれ。まき、石炭、灯油と3種類の燃料をふんだんに使って冬を乗り越えてきた。故郷は真冬、氷点下30度にもなる盆地だった。冬になると母は、厚いたんぜんを羽織ってストーブの前に座り、毎朝火をおこしていた。入れるまきや石炭の量を誤れば、ストーブが赤熱して室内が30度にもなり、真冬に薄着で過ごす、北海道ならではのぜいたくを何度も味わった。半世紀ほど前から灯油ストーブが普及し温度設定機能が付いたが、過剰な暖房の習慣は抜けず、室温が20度台後半になることも多い。反省する。
ロシアは、暖房を奪ってウクライナに厭戦(えんせん)気分を広めるために、電力施設などへの攻撃を展開しているそうだ。一瞬で命を奪うミサイルや戦車砲はもちろん怖いが、厳冬期に暖房を奪う戦争の残酷も、恐ろしい。立春まで、まだ1週間。今年の冬は長く厳しい。(水)









