予算委員会

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 通常国会は予算委員会が始まった。踏み込んだ質疑がある予算委の行方はいつも気になる。今回は特に注視したい。

 岸田文雄首相は昨年12月以降、安全保障政策では反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有、エネルギー関係では原子力発電所の運転期間の延長と次世代革新炉の開発・建設による廃止原発の建て替え、そして異次元と表現した少子化対策など次々と打ち上げている。

 岸田さんは通常国会初日の施政方針で、「近代日本の転換点」と語った。現状認識は共有する。けれど重要政策は経過と議論が積み上げられて現在がある。転換とか進化とか異次元とか、見出しになじむ言葉より、判断に至った議論の経過や根拠、財源などを明確に説明してもらいたい。転換とは実は回帰ではないのか。少子化も本質的な原因をどう理解しているのか。代表質問の答弁は、どれも単に丁寧な口調ではぐらかすばかりだ。

 首相になる前「民主主義の危機」を口にし、国民の声に耳を傾けると言ってメモ帳をかざし「聞く力」を強調した岸田さんだが、今の姿に重なるものはない。説明を尽くし議論を重ね、財源や増税の是非、原発政策などできちっと国民の声を聞くべきだ。「―の危機」は今も続く。予算委の議論を見守りたい。(司)

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