冷静に

冷静に

 世論調査の集計結果にいろいろな思い込みや誤解が修正されることがある。

 日本財団が昨年12月に行った「18歳意識調査」も興味深かった。回答した千人の若者の43・8%が「結婚したい」との願望を持っていた。しかし「必ず結婚する」と答えたのは16・5%だけだ。「多分」の34・5%を合わせても結婚する人は5割強だ。「結婚したくない」が9・2%、「絶対にしない」人も7%いた。自分はこの年頃に、結婚をどんなふうに考えていただろう。もう記憶はない。

 定例国会が始まった。出生数の底なしの減少を受け少子化対策や子育て支援も論議の中心。政治や政治家、行政の判断力や先を見る目はどうか目を凝らす。

 厚生省(当時)が、10人以上の子どもを持つ親を「優良多子家庭」として表彰する制度を設けたのは1940年のことだ。自分の親と祖父母が産めよ増やせよの旗に振り回された。そして敗戦。「多子」世代は戦後、わが団塊の世代を産み育てた。成長の段階ごとに福祉や教育の仕組みや容量を変えた。冷静な分析力のない政治が百年たたることを体験した世代だ。大切なのは給付額だけではない。平和で働きやすい国は、それだけできっと子どもを産みやすい、育てやすい国。そう思いながら国会中継を見る。(水)

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