読みにくい名前の子どもが目立ち始めたのはもう半世紀ほど前のこと。小学校の先生が出欠簿に読み仮名を書いている―そんな記事が新聞に載っていたのを思い出す。いわゆるキラキラネームはその後も増え続け、今はテレビ画面の歌手や運動選手の名前を「何と読む?」と確かめ合うのが高齢夫婦の主要な会話だ。
法務大臣の諮問機関・法制審議会の戸籍法部会は、これまで戸籍に書かれていなかった氏名の「読み」を片仮名で記載する方針を決め、要綱の案をまとめた。行政事務の電算化が進むのに合わせ、検索などの効率化を目指す狙い。「一般的な読み」を基準とし、「高」にヒクイと仮名を振ったり「太郎」をジロウ、サブロウと読ませるのは「認められない」と例示されている。今国会に改正案を提出し2024年施行の予定だ。新生児だけでなくすでに戸籍のあるすべての国民も届けの対象で混乱も予想されている。
自分の名前に不満はない。3人きょうだいの末っ子で、えとはとら。出生当時の人気浪曲師の名をいただく案もあったのだとか。長男も自分も名前の末尾が一だ。「橋の下で拾った子。名前は付いていた」というのが大人たちの冗談。子供心にけっこう悲しかった。いじめや虐待にもつながる名前の重さを思う。(水)









